進化を続けるラグジュアリー
そのあともイヤーモデル毎に少しずつ改良が重ねられてきたレンジローバー。現在はどうかというと、まずパワートレインはスーパーチャージャー付き5Lガソリン車と、3Lディーゼルターボ、2Lガソリンターボ+電気モーターのPHEVの3種類となった。
悪路走破性では2015年モデルからオールテレイン・プログレス・コントロール・システムという機能が用意された。これは低速走行が求められる過酷なオフロード環境で、ペダル操作なしでも一定速度で前進または後進してくれるというもの。
ドライバーはタイヤを取られがちな泥濘地などで、ステアリング操作に集中できるというわけだ。また2018年モデルから「テレイン・レスポンス」に「ダイナミック」と「エコ」モードが加わった。
2017年モデルからメーターはフル液晶タイプとなり、スピードメーターのほかカーナビ画面も表示できるようになり、センターコンソールに収まるディスプレイはタッチパネル式となった。
このディスプレイ上でスマホのアプリが使えるのはもちろん、大型施設の駐車時などでスマホに車両位置まで案内させたり、スマホからドアのロック/アンロック、シートやクラクション、ライトの遠隔操作も行える。
2018年モデルからはエアコン操作部分もタッチパネル式ディスプレイとなった。
シートの形状や素材も2018年モデルから見直され、より快適性が増したほか、ドアガラスも厚くなり、静粛性が増している。
また4シーターのリア・エグゼクティブ・クラスシートを備えたグレードも設定された。さらにマイナス5℃まで急速に冷やせる冷蔵機能付きセンターコンソールや、ジェスチャーだけでブラインドを開閉できるパノラミックサンルーフが用意されている。
安全運転機能も年々進化を続け、ステアリング操作とペダル操作の半自動化はもちろん、2021年モデルにはステアリング操作の状況からドライバーの状態を検知し、休憩を促す機能や、駐車時にステアリングとペダル操作を自動で行ってくれる機能なども用意されている。
2021年モデルからは後席から降りる際、他車の接近を感知すると注意を促す機能が用意された。
群雄割拠となったラグジュアリーSUV界において、王者としての性能と気品をさらに高めた「レンジローバー」。
1970年の初代の登場から50周年を迎えた節目の2020年、熟成した同車を味わってみてはいかがだろう。
「味わい深い、熟成車」とは……ひとつの車種でも、マイナーチェンジはもちろん、実は毎年のように小さな改良が施されている車は多い。ひとつのモデルの後期ともなるとその“熟成”はかなり進んで、ワインのよう深い味わいに。そんな通の間では人気の「後期モデル」は、我々にも当然、美味しい車なのだ。
上に戻る 籠島康弘=文