「Camp Gear Note」とは……キャンプを始めてみると、「こんなに便利なものがあったんだ!」と驚かされるようなギアの発見がある。なかでもヘッドランプには驚かされるだろう。
使ったことがない方は懐中電灯の延長くらいに思っているかもしれないが、これがとにかく便利。LEDの登場以降は、より小さく、バッテリー持続時間も信じられないほどに延びている。
欧米ブランドのシェアが多いギアだが、今回はその中でもひと際個性が輝く日本生まれのブランド「マイルストーン」の成り立ちと特徴について掘り下げてみよう。
丸100年に渡り、灯りを生み出し続けてきた会社が母体
マイルストーンは、2014年に当時30代だった西岡修平さんが立ち上げた若いブランドだが、その背景にある歴史はかなり古い。
親会社の「冨士灯器株式会社」は、夜釣りに役立つ灯りの製造販売を主な事業としてきた老舗釣具製造メーカーで、今年で創業100周年を迎える。西岡家は代々灯りを扱ってきた、いわば「灯りの一族」とでも呼ぶべき存在である。
「冨士灯器株式会社はカーバイドランプという炭鉱や露店商、釣り用に使われていたランプを創業時から作り続けてきた会社です。ヘッドランプを作り始めたのは祖父の代から。規模こそ今と違いますが、当時はナショナル(現・パナソニック)と競い合っていたのだそうです」。
その後、LEDの登場に伴い、夜釣り用の電気ウキなどの生産も開始。現在まで開発から、検査、組み立てまですべての工程を大阪府阿倍野区天王寺町(あべのハルカスのお膝元)で行っている。
「ガレージブランドが増えていますが、なかなかヘッドランプを選択するブランドはないですよね。でも、僕の場合は灯り、LED、電池が常に身近にあったので、自然な流れでヘッドランプの開発に取り組んだのです」。
こうした環境下で育ち、働いてきた西岡さんが自身のブランドを立ち上げるにあたって、これまで培ってきた経験を生かせるヘッドランプを選んだのは必然だったのだ。
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