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——昨今は、再生素材もよく聞かれます。「長く着られる」というテーマには、サステイナブルの観点が欠かせないと思いますが、いかがですか。
藤井 僕がサステイナブルと考える素材は、ウールですね。自然に還る素材なんだけど、合繊よりも機能的。ニュージーランド発のブランド、アイスブレーカーは、ウールを完璧な高機能素材と捉えていて面白い。
「アイスブレーカー」のフリース。「ウールが持つ天然の機能性を最大限活かす姿勢に共感」(藤井)と語るように、ニュージーランド産メリノウールの持つ機能性がアクティブ派に支持されるブランド。オリーブヘザーに彩られた中肉の裏毛組織でクルーネックに仕立てた最新モデルだ。2万3000円/アイスブレーカー(ゴールドウイン 0120-307-560)
橋本 そのブランド興味あるなぁ。
藤井 合繊は土に還らないので、自分たちが長く使うという気持ちで買わないといけないと思います。
橋本 買う側のスタンスも問われるよね。
藤井 サステイナブルな服を選ぶことだけが正しいわけではないので。
橋本 そうそう。こういった問題が提起されると、それぞれのいろんな答えがあって面白い。
種市 僕が実践しているのは、着なくなった服を、ア ラブ ムーブメントというブランドのワッペンでアレンジ。最近のマイブームです。
——セルフリメイクして長く着るというのも新鮮ですね。
藤井 結局、「長く着られる」というのは、「長く着よう」というこちらからのアクションでもあるわけで。
2011-068
「ポロ ラルフ ローレン」のジャケット
「ポロ ラルフ ローレン」のジャケット
ブレることのないトラッドの王道ブランド。こちらは、シェルパフリースを使用したウインドブレーカー「ベイポート」。襟元に持ち出しタブが付くクラシカルスポーティなデザインで、万人からの愛着を一手に引き受けそう。2万1000円/ポロ ラルフ ローレン(ラルフ ローレン 0120-3274-20)
「サタデーズ ニューヨークシティ」のパーカとTシャツ
「サタデーズ ニューヨークシティ」のパーカとTシャツ
「大ブレイクから落ち着いた今、気負わずに着るのが格好いい」(種市)と語るNYブランド。よりファッション性を高めた今もクリーンな印象は変わらない。新作から、シンプルなロゴが刺繍されたフーディと、同色の刺繍によるTシャツをピックアップ。Tシャツ6500円、パーカー1万5000円/ともにサタデーズ ニューヨーク シティ www.saturdaysnyc.co.jp
「ビズビム」のブルゾン
「ビズビム」のブルゾン
クラフトマンシップをコンテンポラリーカジュアルに落とし込むディレクター、中村ヒロキさんの手法はセレブも圧倒。こちらは定番ヴァーシティジャケットの新色。「モノ作りに対して貫く姿勢は圧巻です」(藤井)。26万4000円/ビズビム(F.I.L. TOKYO 03-5725-9568)
「ホワイトマウンテニアリング」のジャケット
「ホワイトマウンテニアリング」のジャケット
デザイナー、相澤陽介さんのクリエイションが世界的にも高評価を獲得。ハンティング風のシャツは、スーピマ綿を使用した超薄のモールスキン、ニット素材の合繊コーデュロイ、ネル生地の異なる3素材をネイビーでまとめ、骨太感と都会的な洗練をミックス。3万4000円/ホワイトマウンテニアリング 03-6416-5381
「ヤエカ」のセットアップ
「ヤエカ」のセットアップ
漢字で「八重日」。日々の積み重ねを重んじるブランドは、シーズンごとにテーマを設けるブランドとは一線を画して、一つひとつのアイテムを大事にブラッシュアップ。本作は羊毛のナチュラルな色みを活かしたグレイッシュな色調が持ち味のフリースのセットアップ。ベスト3万8000円、パンツ3万円/ともにヤエカ(ヤエカ アパートメント ストア 03-5708-5586)
「ジー ゼニア」のパーカー
「ジー ゼニア」のパーカー
エルメネジルド ゼニア社が開発した高機能素材「テックメリノ」を採用。スーパーファインメリノウール100%で、素材感はそのままに通気性、速乾性、保温性を実現し、洗濯も可能。ポリエステルをパネル使いしたデザインにも注目。18万9000円/ジー ゼニア(ゼニア 03-5114-5300)
「ポロ ラルフ ローレン」のジャケット
「サタデーズ ニューヨークシティ」のパーカとTシャツ
「ビズビム」のブルゾン
「ホワイトマウンテニアリング」のジャケット
「ヤエカ」のセットアップ
「ジー ゼニア」のパーカー

種市 そして、体型の維持もね。
橋本 ですね(笑)。根本的に体型維持しないと、長く着れないですよね。
——なるほど。着る側の努力も不可欠と。こういう企画だといわゆる10年着られる「定番的」なものが、多数を占めるのかなと想像していましたが、いろいろな視点がありますね。勉強になります。
藤井 丈夫、長持ちという以前に結局、自分がその服を着続けたいという根本的な欲求があるか。そういう愛着を持てる服なのかという。
橋本 それを考えることが着る楽しさにもつながるわけだしね。
——では種さんに締めの言葉を。
種市 「長く着られる服」というのは考え方や価値観によっても変わってくると思います。だからそれぞれが考えて、自分なりの「長く着られる服」を見つけてほしいですね。
 
恩田拓治=写真(取材) 竹内一将(STHU)、鈴木泰之=写真(静物) 増田海治郎、大西陽子、髙村将司、菊地 亮、秦 大輔、増山直樹=文 長谷川茂雄=編集・文


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