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2020.10.23

ライフ

食が人の輪をつなぐ。シェフ・米田肇が考える料理とその存在意義

春先、日本を代表する三つ星シェフが、コロナ禍における飲食業界の危機を政府に訴えた。
話題のシェフが考える料理とは。そして、その存在意義とは。
 

「料理とは、あらゆる事象を表現できる伝達手段」


 上の写真の料理名は「地球」。鮮やかで均整の取れた美しい一皿だ。作ったのは、宇宙や自然の均衡と調和を表現した世界観が国内のみならず海外からも評価されている、大阪市西区のレストラン「HAJIME」の米田肇シェフ。
彼の料理は見た目のバランスだけではなく、口の平均的な大きさや人体の塩分濃度などから導き出したサイズや分量など、緻密な計算に基づいて生み出される。
大阪市西区のレストラン「HAJIME」の米田肇シェフ。
米田 肇●1972年、大阪府生まれ。大学では電子工学を学び、卒業後、一度はエンジニアとして就職。その2年後には料理人へ転身しフランスで修業。帰国後の2008年に独立開業。翌年には、早くも「ミシュラン・ガイド」の三つ星を取得し、以降10回を数える料理界のトップランナー。
「オープン当初に掲げていたフランス料理は、数年続けるうちにやりきったような感覚が生まれて、自分の料理とは何だろうと立ち止まったんです」。
そこで、独自の美意識やアイデンティティを探求。たどり着いたのが、地元・大阪の自然だ。
「春に芽吹き、夏に青葉が繁り、秋には紅葉、冬になると動物たちがいなくなり、どこに行ったかな?と大きな石をどかせば虫たちがうごめいている。こうした自然の営みに、調和が取れた世界の美しさを感じたんです。これは自分固有の美意識だ、と」。



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