「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは……4年前、葉山に引っ越したとき、どうしてもテレビを置く位置が決まらなかったんです。
白い壁に対して、黒くて四角いテレビは目立ちすぎてインテリアがまとまらない。悩んだ末に思い切ってテレビを捨て、代わりにプロジェクターを購入したところ、だらだらテレビを見ることがなくなりました。
ニュースはネットで見られるし、HDMIケーブルにHDDを繋げば、民放も見れます。あまり不便を感じたことはないのですが、その頃のモデルは見るまでの準備がそれなりに面倒で、使い勝手はいまひとつ。
それから数年、ようやく登場したのがこのエプソンのプロジェクターです。
約10万円という低価格ながら、Bluetoothとの接続が可能なのでスピーカーに繋げば音も迫力十分、画質も抜群で昼間でも見ることができます。またポータブルなので、どの部屋でも使用することができるし、壁だけでなく天井に投影して寝ながら見ることだって可能。
デザインはシンプルで、角に丸みをもたせたフォルムやブロンズカラーで縁取ったフェイスはとてもモダン。部屋にぽんと置かれていてもまったく違和感ありません。
エプソンの「EF-100B」映像も音声もこれ一台でOKのオールインワンタイプのホームプロジェクター。小型で持ち運びしやすいので家中どこでも動画配信サービスが楽しめる。2.3mの投写距離で100インチの大画面を投写可能。ホワイトタイプもあり。
テレビを見なくなったうちの子供たちは、プロジェクターでYouTubeや「あつまれ どうぶつの森」を楽しみ、ラグビーW杯の時には近所の仲間が集り、パブリックビューイングとして大活躍しました。さらに自粛中に家族で見ていた『アベンジャーズ』や『ストレンジャーシングス』など、ネット配信には面白いコンテンツがいっぱい。
そして個人的にハマったのは『半沢直樹』(笑)。ラウンジチェアに座って、ハイボール片手に柿の種をつまみながら一人で夢中になって見ていましたね。大きな画面で見る顔芸はとりわけすごい迫力!
ホームシアターを堪能するのはまさに至福の時間。つくづくテレビを捨てる勇気を出して良かったなあと思います。もしそろそろテレビを買い替えようかなと思っていたら、まずは本当に必要なのかどうか考え直してみては? テレビを置かないだけで、ライフスタイルが大きく変わりますよ。
いいモノって常に「ニューノーマル」を生み出してくれるのかもしれません。
[藤井隆行 プロフィール]
東京を代表するブランド「ノンネイティブ」のデザイナーで、ファッションからライフスタイルまで一貫したこだわりを持つ。長女のオンライン授業やら、自身のzoom会議やら、Netflixやらでネット回線が遅くなり、最近ではルーターをハイスペックなものに交換!
「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは……
世の中のありとあらゆるプロダクツから、「ノンネイティブ」藤井隆行さんが独自のセンスと審美眼でモノをセレクト。デザインとは? 実用性とは? 買い物の醍醐味とは? ブランド名や巷の情報に惑わされず、本当に自分に必要なモノと出会う方法を指南。
上に戻る 竹内一将(STUH)=写真 町田あゆみ=文