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ビジネスで成功する秘訣はなにか。
もっとも重要なのはパイオニア精神。その市場の開拓者であることだろう。つぎには、市場のニーズを汲み取ったバリエーションを、うまく作れるかではないか。
フォルクスワーゲンは、大きなマーケットにおけるパイオニアだ。最初のビートル、つぎに初代ゴルフ。性能もパッケージもスタイルも画期的なコンパクトカーで、世界中のメーカーに影響を与えた。
一方、フォルクスワーゲンは市場のニーズを汲み取るのもうまい。最近でいえば、話題のSUVの分野で続々と新車を発表し、ヒットを連発している。
2020年7月に日本でも発売になる新型車「T-ROC(ティーロック)」は、コンパクトSUVのT-CROSSに続くモデルだ。
T-CROSSよりも大きくパッケージングにすぐれ、さらにコネクティビティや安全を含めた運転支援システムが充実。その魅力は、エネルギーの充溢を感じさせるボディと、質感の高い内装にとどまっていないのだ。
フォルクスワーゲン伝統の太くてしかも前傾したリアクォーターピラーと、大きくふくらんだフェンダーと存在感のある前後輪は、(クルマに使うのも変だけれど)生命感にあふれていて、たいへん好ましい。
全長は4240mmで、全高は1590mm。エンジンは1968ccのディーゼルのみで前輪駆動方式を採る。使い勝手と燃費を重視しての設定だ。
明るい色が多い車体色といい、ダッシュボードやドアトリムの色使いをカラフルにする手法といい、若々しいイメージで好ましい。20代から30代にかけてのアクティブな人にぴったりだろうが、もうすこし年上のビジネスマンが乗るのもいいと思う。よき趣味性を感じさせるからだ。いいエネルギーに満ちたようなT-ROCに乗る人は、人生を積極的に楽しんでいる印象を与える。これこそ、大事なことだ。
駆動形式 : FF
全 長 : 4240mm
全 幅 : 1825mm
全 高 : 1590mm
最高出力 : 110kW(150PS)/3500-4000rpm
価 格 : 3975880円から(消費税込み)
問い合わせ : フォルクスワーゲン カスタマーセンター(0120-993-199)
【COLUMN】LNGガスで航行する車両運搬船の導入を発表
CO2削減は世界中の企業にとって大きなテーマであり続けている。ドイツのフォルクスワーゲン本社も例外でなく、2020年6月にユニークな試みを発表した。同社が使う車両運搬船の燃料を、環境への負荷が少ない、LNG(気体であるガスを冷却して液体化した燃料)化するという。メリットは「二酸化炭素の排出量を25パーセント減に、窒素化合物を30パーセント減に、すす粒子を60パーセント減に、硫黄酸化物にいたっては100パーセントなくせるところにあります」(VW)とされている。VWが製品の輸送のためにつかう船舶数は年間で数百艘、車両運搬船は11艘にのぼる。うちLNGを使う2艘が年に280万台を運ぶという。
陸、海、空すべての領域において、CO2削減に取り組むというVWが、自動車以外の分野でも自社の取り組みを熱心に紹介するのは、おおいに評価に値する。
Fumio Ogawa=文 Tsuzumi Aoyama=編集 Chris Rathbone=イラスト
記事提供:Forbes JAPAN