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2020.10.05

たべる

カレー作りからさまざまな世界が広がった。コロナ禍カレー作りにハマった人の「その後」

当記事は、「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちらから。
今年、売り上げが急激に伸びているインド鍋。底が平らな鍋に比べ、テンパリング(スパイスを油で熱して風味を引き出すこと)や炒める作業がしやすいという。(写真:筆者撮影)
コロナ禍となって早半年。この間、さまざまなものにハマる人が増えているが、カレー好きの間でもあるものが爆売れしている。インド鍋である。インド鍋を輸入・販売するネットショップ「アジアハンター」によると、去年までは年間20~25個程度の販売数だったのが、今年はすでに400個以上を売り上げているという。
インド鍋とは、幅広のお椀型をしたインド製調理鍋で、インドの家庭で広く普及している。同店の小林真樹代表は、「5月ごろから、インド鍋の販売個数が目に見えて増えました。その1番の要因として考えられるのが、ステイホームによって家でカレーを作る人が増えたことです」と分析する。
「何人かのコアなインド料理好きがインド鍋を購入し、それをSNSで発信したことも大きかったのではないでしょうか」(小林氏)。
確かに4、5月はSNS上に自作カレーを投稿する人がとくに目立った。家にいる時間が長くなり、カレー作りにより多くの時間を割く人や、新たにカレー作りを始める人が増えたのではないか。

「カレーに救われた」ミュージシャン

では、実際にカレー作りにハマったのは、どんな人たちだったのか。コロナ禍をきっかけにカレーに深くコミットするようになり、生活や仕事に大きな変化が起こった3人に話を聞いた。
プロのベーシストと間借りカレー人という2つの顔を持つ前田竜希氏(写真:筆者撮影)
プロのベーシストと間借りカレー人という2つの顔を持つ前田竜希氏。(写真:筆者撮影)
1人目は、コロナ禍による大きな逆境を「カレーに救われた」と話す、ミュージシャンの前田竜希氏(32)。同氏はプロのベーシストとしてさまざまなアーティストのサポートをするほか、自身のバンドやソロで活動を行っている。並行してライブハウスや飲食店での自作カレーの提供・販売をライフワークにしており、コロナ前は月3回ほどのペースで間借りカレー営業をしていた。
ところが、コロナで出演予定だったライブのすべてが中止になった。あわせて間借りカレー営業も休止。3月以降はライブとカレー、両方のスケジュールが完全に白紙となり、無収入となってしまった。区から借りた緊急小口資金や、持続化給付金、さらには機材を買うために貯めていた資金を生活費に充てる生活を余儀なくされた。


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