不思議なことにフレンチデニムには独特の色気がある。日本のデニムとも、アメリカのデニムとも、イタリアのデニムとも違う個性。さてその色気はいったいどこから来るのか。
’80年代中頃に一大ブームとなった、「シピー」「シェビニオン・ヌヌシュ」などの“小粋なデニム”の系譜か。それともさらに遡って’60年代、白シャツ&デニムで雰囲気たっぷりにピアノを弾いた、セルジュ・ゲンズブールの着こなしにあるのか。
定かなことは言えないが、近代ファッション史の記憶のどこかから、その色気は漂ってくるのだろう。
デニムといえばまずはアメカジ!な我々。でもいい感じに年を重ねたおかげで、フレンチデニムが持つ独特な色気もモノにできるようになった……気がするな。
「A.P.C.」のデニム深い股上と太めのレッグが ’80年代的フレンチデニムを感じさせる新作。小粋さの理由は足元にもあって、白ソックス+茶ローファーの効能である。
デニムのブルー、ミックスブラウンのカーディガン、白いシャツの色合わせで品良く着こなしたい。
山本雄生=写真 荒木大輔=スタイリング 松本和也(W)=ヘアメイク 加瀬友重、今野 壘=文