期待しないほうがダイバシティは効果が出る
聖人君子みたいなことを言いたいわけではありません。そのほうが結果として、逆説的ですが、効果が出ると思うのです。
男女は世界に半々だから、いろいろな場で男女が半々であるのは「ふつう」。男性だけ、女性だけと偏りがあるのは、何らかの理由がある場合以外は「おかしい」。それぐらいの期待感でダイバシティを推進するほうが、過大な期待感を背負わされることなく、異質な人や少数派やこれまで差別的な扱いを受けてきた人が伸び伸びと活躍できる土壌ができるのではないでしょうか。
ダイバシティはそれ自体が大切だからコストもかかるが推進するとしたほうが、人々の支援行動も自然に生まれることでしょう。
ダイバシティに効果を求めるならやめてしまったほうがよい
私はダイバシティを推進することは最終的には良い効果を組織にもたらすと思います。しかし、その効果をすぐに求めなければならないほどの余裕のない会社ならば、ダイバシティ推進などやめてしまって、「うちはこういう会社だ」と強く文化のアイデンティティを打ち出して、ある意味「排他的」な会社になったほうがよいと思います。そのほうがマネジメントやコミュニケーションのコストは減り、事業推進力は向上するかもしれません。
それで売上を出し、利益を上げて、税金を払うことで社会貢献すればいいのです。そうして、そのうち十分成長して余裕ができたら、ようやく多様な世界という現実を受け入れる場としての責任も果たすようになればよいのではないでしょうか。
連載「20代から好かれる上司・嫌われる上司」一覧へ「20代から好かれる上司・嫌われる上司」とは……組織と人事の専門家である曽和利光さんが、アラフォー世代の仕事の悩みについて、同世代だからこその“寄り添った指南”をしていく連載シリーズ。好評だった
「職場の20代がわからない」の続編となる今回は、20代の等身大の意識を重視しつつ、職場で求められる成果を出させるために何が大切か、「好かれる上司=成果がでる上司」のマネジメントの極意をお伝えいたします。
上に戻る 曽和利光=文 株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長 1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。 |
石井あかね=イラスト