本気で取り組むブラックジャック
クリストフ・クラーレ「21ブラックジャック」
文字盤をルーレットに見立てた時計はこれまでもあったが、カジノの世界観にここまでこだわった本格派は初めてだろう。
ケース裏にはムーブメントのローターでルーレットの回転テーブルを模し、始動後、数秒間の回転で止まる。さらにケースサイドの4時位置に2個のダイスを収め、小窓越しにわずか1辺1.5mmのミニチュアサイズながら出目が楽しめる。
そしてハイライトが文字盤で展開するブラックジャックだ。9時位置のプッシュボタンでカードがシャッフルし、文字盤の上下に分けたディーラーとプレーヤーの窓に、ディーラー側1枚とプレーヤー側2枚のカードを表示。さらに10時と8時のプッシュボタンの操作で、それぞれの持ち札が加わる。
しかもカードのシャッターが開く度、ハンマーとゴングによるソヌリの音が鳴り、ヒット!を伝えるという趣向だ。
複雑機構の最高峰のひとつであるソヌリを贅沢に用いた、遊びだからこそ本気でやるという大人の洒落っ気だ。
「趣味時計」とは……
時計が趣味だというのは当たり前。もはや時計は趣味の頼れるサポーターでもある。海で山で街で、はたまた家で。時計と一緒に、趣味の時間をもっと遊んドケイ!
上に戻る 柴田 充=文