「自転車ライフ 2.0」とは……3月、インスタグラムに #東京大阪自転車小旅行 というタグが付いたこんな写真がポストがされた。
熱海駅に停められたSURLY(サーリー)のロードバイク。持ち主は、大阪出身のシンガーソングライター・奇妙礼太郎さんである。
「一週間くらい暇ができたので、東京・大阪間を自転車で往復してみようかなと」。
なるほど。となれば、何日で完走した? この旅の感想は? と、気になることがムクムク頭を占領してくるが、旅の物語は一気に急展開を迎える。
「東京を出て初日に小田原、2日目に静岡に泊まって3日目の朝、大阪に住んでいる友達の松井くんから今夜呑もうよって誘われて」。
まさか!
「それもいいなと思って予定を変更して、自転車とともに新幹線に乗って。それからしばらく、大阪で暮らしてました」。
驚きである。しかし、これをきっかけに奇妙さんは、大阪でも“自転車のある暮らし”を手に入れる。ライブで関西方面へ頻繁に行っていたことを理由に、かねてから東京と大阪のデュアルライフを構想していた奇妙さんは、自転車をそのまま大阪に置いて東京に帰ることにしたのだ。
「滞在中に事務所を借りたんです。行きつけの飲食店はそこから2km先だし、自転車は大阪にあった方が明らかに便利だなと思って。当初の予定ではそんなつもりはまったくなかったんですけど」。
偶然なのか必然なのかわからないが、奇妙さんのデュアル自転車ライフはこうして始まった。では、これまでの自転車遍歴はどうだったのか。まずは出会いから振り返ってみよう。
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