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目標管理が自律性や創造性を阻害している例も

ところが、さまざまな会社で人事コンサルティングをさせていただいている私の知る限りにおいては、残念ながら目標管理制度は逆に社員の自律性や創造性を喪失させている可能性があるのではないかと思います。
具体的に言うと、「期初に立てた目標の達成度によって評価をする」ことで、目標自体が目的化(本来は顧客への価値提供や事業の発展が目的)していわゆる「ノルマ主義」に陥ったり、期中の環境の変化に柔軟に対応することを妨げたり、目標外のことにチャレンジする意欲を減退させたり、目標を達成したあともさらに努力を続けるモチベーションを削いだりしているケースが多く見受けられるのです。
 

メリットがあるから目標管理は導入されている

もちろん、目標管理自体が悪いわけではありません。例えば、会社や事業が達成したい目標を適切に分解して、それを受け持つ個々の社員の目標として分配することで、社員に全体最適な行動を促すことができます。
仕事の抜け漏れも減り、個々の社員がそれぞれの目標を達成することで、会社や事業の目標も達成されることになります。
このように、目標管理を行うこと自体には当然ながらメリットがあり、だからこそこれほどの企業に導入されているわけです。ただ、このメリットと、上述のデメリットのバランスが、崩れてきている会社が多くなってきたのではないかということです。
 

環境が曖昧なら、目標も曖昧に

それは、言うまでもなく、昨今の企業を取り巻く環境が曖昧であるということに起因しています。
どんな変化が起こるかわからないのに、半年や1年背負っていく目標を明確にしていくと、先の述べたような自律性や創造性の阻害の問題のほうが大きくなってしまいます。目標を曖昧にして、具体的な行動や数字ではなく、抽象的な方向性にすれば、環境の変化に応じて、各社員は自分で個々の行動を自律的に変えていけばよいのです。
当然、営業職やモノ作りの技術職など、明確な目標(売上や作業内容・工程数等)を掲げても問題ない(もしくはそのほうがよい)職種もありますが、皆さんの会社にある仕事では、いかがでしょうか。


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