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ビームスで“日本博”を開催してみたい

このバッグを見てください。本格的な刺し子生地で、ストラップは本物の黒帯。愛知県豊川市の柔道着メーカー、タネイさんに作ってもらいました。/ビームス ジャパン
伝統的な柔道着の生地を使用。「ワンショルダーで使えばまさに“一本背負い”です(笑)」と鈴木氏。黒帯ストラップはリュックのように両肩で背負うことも可能だ。H44.4×W46.4×D29cm 7800円/ビームス ジャパン 03-5368-7300
「このバッグを見てください。本格的な刺し子生地で、ストラップは本物の黒帯。愛知県豊川市の柔道着メーカー、タネイさんに作ってもらいました。武道は日本の重要な文化のひとつですからね」。
商品について思い入れたっぷりに語る鈴木氏。青森のボッコ靴。輪島塗の名刺入れ。瀬戸物の招き猫。見た目もうんちくも楽しい。
青森県で農作業用長靴として愛されてきた「ボッコ靴」。/ビームス
青森県で農作業用長靴として愛されてきた「ボッコ靴」。それを街履き用にリデザインしたのがこの「ボッコサボ」だ。天然ゴムを薪ストーブの熱で成型するため、製品には燻香が漂う。2万4000円/ビームス ジャパン 03-5368-7300
「ただ格好いい、かわいいだけではなくて、歴史と文化を感じさせる商品にしたい。そのうえでビームスらしい遊び心も加えたい。そんな部分にこだわっています」。
話し出したら本当に終わらないんですよ、と言って鈴木氏は笑う。メジャーなキャラクターや工芸品から、ごく一部で知られる特産品まで。そんな“ネタ”をどのように見つけ出すのだろうか。
誰もが知る伝統工芸「輪島塗」。その匠の技で名刺入れを製作した。/ビームス ジャパン
誰もが知る伝統工芸「輪島塗」。その匠の技で名刺入れを製作した。錫の粉を混ぜた漆を何層も重ねて独特の質感を表現。メタリックだが手にしたときヒヤリとせず、温かみすら感じるのは漆の効能か。7万5000円/ビームス ジャパン 03-5368-7300
「地方出張したときに、偶然面白いモノと出合ったりしますね。あるいは信頼している人からの口コミだったり。ウェブで調べることはまずなくて“足で稼ぐ”イメージ(笑)。だからほかとあまり被らないネタになるのかもしれません」。
足で企画の芽を探し、直感で成長株を見極め、豊かな経験により結実させる。時間はかかるが、商品はそのぶん骨太になるのだ。
「大都市にただモノを集めるだけの“便利な商売”はしたくないんです。最終的にはお客様に、その商品が作られた土地を訪れていただきたい。日本の地方には美味しい食べ物、美味しいお酒もたくさんありますから、ぜひ旅して楽しんでほしいんです」。
ロングセラーの細身の招き猫は、愛知県瀬戸市の中外陶園にて製作。/ビームス ジャパン
ロングセラーの細身の招き猫は、愛知県瀬戸市の中外陶園にて製作。小さい猫は高さ9.5cm、大きい猫が15.5cm。写真は左手を上げた「千客万来」型。右手を上げた「金運」型も用意する。左から5200円、3700円、3700円/すべてビームス ジャパン 03-5368-7300
「ほかのレーベルとは規模が違いますが」との注釈つきではあるが、ウィズコロナの時代にもビームス ジャパンの売り上げは伸びている。それは4年間続けた「モノを売るだけではない、コトを意識した商売」が、消費者の心を強く捉えたからではないだろうか。この哲学を大切に踏襲し、今後はさらなるチャレンジを進める予定だ。
「ここ20年で各都道府県はもちろん、日本の主要都市のほとんどに足を運びましたので、次は島を攻めていきたい。さらに深い文化に出合えると期待しています。また京都店のように、地域に根ざしたお店も少しずつ増やしたいですね。
そして将来、大阪万博のような“日本の博覧会”をビームスで開催したいんです。実現できたら、相当楽しいと思いませんか?」。
 
鈴木泰之=写真 加瀬友重=編集・文


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