京都人も納得したビームス ジャパンの視点
去る6月11日、ビームス ジャパンは京都に新店をオープンした。
「東京の次は京都に出したいと、ずっと考えていました。ただ京都という場所は人の目が肥えていて、厳しい。歴史的建築や美術、工芸、食にいたるまで“日本の良いモノ”が集まる場所ですから」。
その心配に追い討ちをかけるように、今回のコロナ禍によってインバウンドが激減する。
「街は閑散としていました。祇園や清水寺の参道などはシャッター街のようになっていたんです」。
しかしながら蓋を開けてみると、なかなか調子がいい。むしろ、かなりの好成績だったというのだ。
「海外の方に代わるようにして、地元の人たちが来てくれたんです。大阪や兵庫など周辺地域の方々も。オープンの木曜日から4日間店舗にいたのですが、毎日入場制限をかけるほどの混雑ぶりでした」。
50代、60代と思しきお洒落な夫婦が、高額な商品を購入していく。年中無休で観光客がひしめく京都の中心地に、京都人はふつう出かけない。新型コロナによる観光客の減少が逆に、地元の人を呼び寄せる結果となったのである。
この流れはいわば偶然だ。しかし、ビームス ジャパンの商品が一筋縄ではいかない京都人を納得させたこともまた、まぎれもないひとつの事実である。
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