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「酸素を吸いすぎているのに、酸欠ってどういうこと?」と思われるかもしれませんが、これには体の仕組みが関係しています。
「換気が悪い部屋で体調を崩す」「二酸化炭素量の増加が温暖化を引き起こす」と、二酸化炭素には厄介な廃棄物で悪者のイメージがついています。しかし、酸素を吸収できるのは、二酸化炭素のおかげでもあります。
そもそも酸素が細胞にたどりつくためには二酸化炭素の存在を必要とします。酸素は血液中の赤血球中のヘモグロビンにくっつくことで運ばれ、二酸化炭素が酸素とヘモグロビンを切り離すことで、体中に酸素が供給されます。これは生物の授業で習った方も多いことでしょう。
つまり、息をどれだけ吸い込んでも、酸素は一定量しかとり込めないうえに、体内の二酸化炭素が少なければ、その分少ない酸素しか吸収できません。つまり、息を吸すぎてしまうと、酸素と二酸化炭素とのバランスが崩れ、酸素がうまく体中に運ばれなくなってしまうのです。

「呼吸のリズム」は二酸化炭素が決める

二酸化炭素の重大な役割はまだあります。それは、「二酸化炭素量によって脳は呼吸リズムを決めている」という点です。
呼吸を調整している呼吸中枢は、脳の延髄と呼ばれる箇所にあり、二酸化炭素の量をモニタリングしています。二酸化炭素が一定量まで増えると、この呼吸の司令塔が情報をキャッチし「息を吸って!」と体に信号を出します。ここで呼吸速度やリズム、深さが決められます。
二酸化炭素が少ない状態が24時間以上続くと、体の二酸化炭素への耐性が低くなり、呼吸中枢が「息を吸って!」という信号を出すタイミングが早まります。この負のスパイラルによって、徐々に浅く速い呼吸が常態化してしまうのです。


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