“革靴の王様”の異名を持つジョンロブ
の「ウィリアム(WILLIAM)」が今年75周年を迎えた。1945年の誕生以来、ブランドを代表するマスターピースとして今もなお愛され続けているシリーズだ。そして今年、アニーバーサリーを祝福する記念すべきモデルが3弾に渡って登場している。75年の歴史に裏打ちされた魅力を、スタンダートモデルと3つの限定モデルで振り返ってみよう。
まずは現行モデルのウィリアム。創設者の息子ウィリアム・ハンター・ロブから名付けられたこのモデルは、1945年にビスポーク(オーダーメイド)シューズとして誕生したのが始まり。
ダブルモンクストラップは、アビエーターブーツ(宇宙飛行士の靴)から着想されたもので、洗練されたフォルムに力強い印象を与えている。このストラップ、今でこそ紳士靴でよく見られる意匠だが、ウィリアムがその起源とされている。
そして、75周年を記念する第1弾として登場したのが、今年の6月に販売された「ウィリアム ニュー スタンダード(WILLIAM NEW STANDARD)」だ。
通常のウィリアムは「9795ラスト(木型)」で作成されるが、こちらは「0015 ラスト」を採用。丸みを帯びたボリュームのあるトゥが現行モデルとの大きな違いだ。 トゥに合わせる形でレザーソールも厚みを増し、よりタフな印象を与えている。
第2弾は、1992年と1998年に発売されたモデルを復刻。それぞれ「ウィリアム 92(WILLIAM 92)」と「ウィリアム 98 (WILLIAM 98)」だ。
ウィリアム 92は、アッパーに凹凸のあるカントリーカーフを使用し、ソールにはライトウェイトウォーキングソールを採用。一方、ウィリアム 98は、アッパーに施されたワックススエードの素材感が特徴で、ソールは滑りにくいミディアムラグソールとなっている。
どちらも、意匠性に加えて歩きやすさを追求したアイテムで、カジュアルなスタイルにもばっちりハマることだろう。
さらに、第3弾として10月25日(日)に発売されるのが「ウィリアム 75(WILLIAM 75)」だ。
今年度のイヤーモデルとして発表される「ウィリアム 75(WILLIAM 75)」には、ウィリアムシリーズ初のホールカットレザーが用いられている。1枚の革のみで1足のシューズを作りあげる贅沢な手法で、縫い目のない滑らかなフォルムは、独特な上品さを漂わせる。
そのほかにも、革を貫通せずに内部で手縫いを施すスキンステッチや、2021年を表す“XXI”のハンドタブ等、ジョンロブならではの究極のクラフツマンシップが随所に感じられるだろう。
こちらは同モデルのBordeauxカラー。カラバリは全部でBlack / Dark Brown / Chocolate / Bordeaux / Deep Blueの5種類で展開。1足ずつ職人が手作業で脱色したあと、クリームやワックスで色を乗せることでアンティーク風な仕上がりに。手作業による染色のため、1足1足が異なる色味を持つ。
憧れの名靴として75年もの間、確固たる地位に君臨し続けているウィリアム。その魅力は、一貫したスタイルを保ちながらも、最高峰のクラフツマンシップによる多様な表情を持つところにある。言葉ではこれ以上言い尽くせないので、あとは貴方の足で感じてほしい。
[問い合わせ]ジョン ロブ ジャパン03-6267-6010白柳ワサビ=文