どこにいてもOKな時代へ
LACを運営する株式会社ライフルの井上高志社長は「テクノロジーで人々を定住から解放しよう」と掲げ、菅原さんはその世界観に共感したという。
そのため菅原さんが「テクノロジーを活用して自分らしく生きられる社会作り」を目指す一般社団法人パブリテックを立ち上げる際には、知人を介して井上社長に連絡をし、初めて会う場で理事職をお願いした。
そうした経緯から菅原さんは磐梯町と関わりを持つようになった。そして目下、早期に実現したいのは町役場の職員のリモートワーク化だという。
「7月に磐梯町と東京・渋谷にある2つの民間企業との間で包括連携協定が締結されました。そのため渋谷にある企業のオフィスは交流の場となり、さらにリモートワーク化が進めば渋谷で磐梯町の仕事をすることができる。
毎日役場に行く必要がなくなるので、都内に居住すれば空いた時間に都内の学校に通うなどしてスキルアップがはかれ、業務にフィードバックもできます。テクノロジーを活用し意識を変えれば、決裁権を持たない小さな町の公務員でも、自分らしい働き方や生き方を実現できるんです」。
デジタルの恩恵を受け、今後はさらに「どこにいてもOK」な社会になっていくと菅原さんは言う。
そのとき、誰もが旅人のように生きられる時代の象徴として、時代に先駆けた町の頭脳があるLAC会津磐梯は、多くの人に利用され、ごく当たり前の存在になっているのかもしれない。
「リビングエニウェアコモンズ(LAC)」あらゆる制約に縛られることなく、好きな場所で、やりたいことをして暮らす生き方を実践するための“コミュニティ”。現在、会津磐梯、伊豆下田、岩手県の遠野など日本全国5カ所に展開する(詳しくは
HPを参照)。いずれもWi-Fi環境や電源などを完備したワークスペースと、長期滞在を可能にしたレジデンススペースからなる複合施設だ。2020年中には計10カ所のオープンを目指している。
上に戻る 「“職遊融合”時代のリアルライフ」とは……モーレツ社員が礼讃された高度成長期から、ライフワークバランスが重視される2000年代へ。そして今、ワーク(職)とライフ(遊)はより密接となり、「そもそも区別しない」生活が始まった。ワーケーションなどのサービスも充実し、職場の常識も変わり、身の回りに新しい暮らしを実践する仲間も増えてきた。さて、あなたはどう生きる?
上に戻る 小山内 隆=取材・文