部下に任せる仕事の本質を理解していたかが問われる
それができるかどうかが、テレワークでも部下をマネジメントできるかの肝です。これまで部下に任せていた仕事の本質をきちんと理解していたかどうかを問われていると言ってもよいかもしれません。明確な指示が事前に出せるのであれば、いちいち細かく部下の状況を把握する必要はなく、節目で報告を受ければよいだけです。
自分でもあまりよくわかっていない仕事を部下に丸投げして、トラブルが起きてから対症療法的に動くというようなことをしてきた人が、事前に丁寧な指示を部下に出すことができないのでしょう。そうではなく、テレワーク時代のマネジメントは「明確に指示して、あとは信じて任せる」なのです。
「やってみせる」ができないなら言葉にするしかない
管理職に昇進されているような方ですから、上司の皆さんはスタープレーヤーだったのでしょう。しかし、「できる」ことと「やっていることを認識している」とは違います。
自転車に乗れるからと言って、乗り方を言葉だけできちんと説明できる人は多くありません。むしろ、スタープレーヤーほど、無意識ですらすらやってしまえることが多く、自分でやっていることの説明が下手な人も多い。数学ができる人ができない人に教えるのが難しいのと同じです。
それでもリアルなオフィスなら「やってみせる」ことで部下に教えることができました。それがテレワークで難しくなった今、上司の皆さんに新しく必要になる力は、部下を細かく観察することではなく(大事ですが)、仕事を言語化して明確な指示を出す能力ではないでしょうか。
連載「20代から好かれる上司・嫌われる上司」一覧へ「20代から好かれる上司・嫌われる上司」とは……組織と人事の専門家である曽和利光さんが、アラフォー世代の仕事の悩みについて、同世代だからこその“寄り添った指南”をしていく連載シリーズ。好評だった
「職場の20代がわからない」の続編となる今回は、20代の等身大の意識を重視しつつ、職場で求められる成果を出させるために何が大切か、「好かれる上司=成果がでる上司」のマネジメントの極意をお伝えいたします。
上に戻る 曽和利光=文 株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長 1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。 |
石井あかね=イラスト