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「俺のデザインの追求」から「人を育てる」への意識変化

原さんがデザイン会社SLOWを立ち上げたのは36歳のときだ。大学卒業後にインテリア会社を経て入ったデザイン事務所は2年で辞め、27歳でフリーランスとして独立。「なんのキャリアもなくて無謀」だったから、とにかくがむしゃらに仕事をした。
「デザインが好きだったし、作ることが好きだった。好きなことと仕事が一致していたので夢中でしたし、『俺のデザインを極めてやる!』という、自己承認欲求も我も強かった。でもそれと同時に、30代に入った頃から『デザイナーとしての俺には賞味期限がある』ということも感じていました。すごいスピードでアップデートし続ける世の中についていけなくなる年齢が来るだろうなと思っていたんです」。
それゆえ、会社を立ち上げた際に注力したのがチーム作りだった。チームで仕事をしていくことで、アートディレクターである自分が年齢を重ねていっても、デザイン会社としてチームが機能していけるように、スタッフを育てた。

「以前、出身高校のラグビー部のコーチをやってたんですよ。最初は『こうしろ』『ああしろ』って指示を出して、できないと怒っていた。でも、それじゃダメだって先輩コーチから言われました。『生徒に寄り添っていって、考え方を共有するのが大事だ』って。
育てるっていうのは、思考を受け継いでもらうということなんだなということを理解しました。このコーチ経験はすごく大きかった。この経験がなかったら、会社というチームを作ってスタッフを育てるなんてことはできなかったですね」。


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