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ジワジワと出来上がる火のタネが楽しいのだ

ハドソンベイのタバコケース。
入手困難な、ハドソンベイのタバコケース。
「僕は真鍮という素材が大好きなんです。使っていくほどに味が出るところが、とても」。
ウッド同様、時の経過と使用頻度に伴ってやんわり変化してゆく様に魅了されている阿諏訪さん。この真鍮製のタバコケースとの出合いは、なにげなく見ていたとあるYouTube動画だった。
「デンマーク人の男性が自然の中で火を熾していた動画です。そのとき、彼が使用していたのがこのハドソンベイのタバコケースでした」。
ケース内には火打ち石やチャークロスなどを収納。小物入れとしても活用できる。
ハドソンベイは1655年に設立された、北米最古の由緒正しき企業。このタバコケースは、同社がまだハドソンベイカンパニーという名で活動していた頃に販売していた有名なアイテムである。
上部に内蔵したルーペに太陽光を集約させて火を熾す原始的な仕組みを見ると、マッチが一般的に広まっていなかった当時に想いを馳せられる。そして、利便性が追求されている世の中にあって復刻され、今なお手に取れるという事実がギア自体の偉大さを物語っている。
「もう必死に探しましたね。ケラムと違い、こちらは国内で卸していたところがありましたけど、どこでもずっと品切れ状態が続いていて。販売サイトとにらめっこの日々が続きました。その攻防が半年ほど続き、やっと手に入れることができたんです」。
焚き火はキャンプの醍醐味。火の熾し方もさまざまなのだ。
もともとはタバコケースだが、阿諏訪さんは火熾し用として活用。この手間暇にこそアウトドアの魅力が詰まっているといっても過言ではない。


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