世界が“ワンワールド”であることを身に染みて実感すると同時に、他国との隔たりも感じるこのご時世。
旅行ガイドブックも静かに書棚で出番を待ち侘びているが
、そんななかで海外旅行ガイドのパイオニア『地球の歩き方』から、『世界244の国と地域 197ヵ国と47地域を旅の雑学とともに解説』(以下「世界編」)というガイド本が発売されたのをご存知だろうか。こんなパンデミック禍では、旅行ガイドなど無用の長物と思われるかもしれない。でも、実はその逆。旅に出られない今こそ旅気分が味わえる一冊となっていて「よくぞこのタイミングで出してくれた!」と話題になっている。
制作を担当した『地球の歩き方』第二編集部編集長の宮田 崇さんにお話を聞いてみると、意外なエピソードが。
話を聞いたのは……
「地球の歩き方」第二編集部編集長・宮田 崇さん●大学1年生でインド旅行したのを機に、本格的に旅の魅力に開眼。『地球の歩き方』でもインド担当になり、1997年以降は毎年インドへ“帰っている”という。これまで訪れた国は72カ国。小学3年生から御朱印集めにもハマっていて、『地球の歩き方 御朱印シリーズ』や日本国内の『島旅シリーズ』なども手掛ける。
トリビアからマナーまで、旅行気分になれる「世界編」
「世界編」の表紙をめくってみると、まず目に飛び込んでくるのが国名と国旗、そして各国の挨拶。
世界中の国や地域の人口、首都、民族、宗教などの基本情報に加え、『地球の歩き方』ならではの雑学コラムなどもてんこ盛り。このコラムがとにかく面白い。ちょっと裏表紙を見るだけでも雰囲気は伝わるんじゃないだろうか。
「レシートが宝くじになる(台湾)」「ベーグルはポーランド生まれ(ポーランド)」など感心するものもあれば、「バスが満員のとき、座っている人の膝の上にのっていく(サモア)」など、ちょっと笑えるトリビアもある。
「食器を持ってはいけない(韓国)」「Goodサイン、ピースサインはNG(南アフリカ)」などは、マナーとしても覚えておきたい雑学だ。そういう意味では、しっかり実用性も備わっている。
宮田さんは言う。
「地球の歩き方に求められているのって、現地情報のなかでも、旅の雑学なんですよ。ちょっとした小ネタだったり、ガイドの合間に書いてあるコラムだったり、読者からの口コミだったり。私自身そうゆう文章が好きだったので、とにかく雑学が知りたいなと」。
確かに『地球の歩き方』は観光情報だけでなく、現地のあらゆる小ネタが満載。宿や移動中に読むと、よりその地の理解が深まり、旅も楽しくなるのだ。
「もともと『地球の歩き方』の成り立ちが、卒業が決まった学生に自由旅行(卒業旅行という言葉は地球の歩き方が作った)をしてもらうためでした。
説明会を開き、参加者に旅をするためのノウハウや過去の参加者の体験談などを小冊子にまとめてオリエンテーションで配り始めたところ、年々評判がよくなり、冊子が厚くなってきたので、この情報を整理して売ろうとなったのが1979年。なので、今も読者の声は大事にしているんです」。
「世界編」は、そんなコラムや読者の声から得た雑学をたっぷり凝縮した、いわば創刊40年にわたるキャリアの集大成とも言える一冊なのだ。
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