やっと出会えた運命のギア、キューピッドは……
村田さんがギアを選ぶ基準として、真っ先に挙げたのが「軽さと耐久性」。こよなく愛する焚き火のメインキャストである焚き火台は、出逢いと別れの繰り返しだったという。
「キャンプギアを揃え始めた当初は、ほとんどの場合そこまで迷うことはなかったんです。ただ、焚き火台は別。これまでいろいろ試しながら、何度も買い換えてきました。大抵のものは使えなくもなかったのですが、どうもピンとこなかったんですよね……。そこで、芸人のヒロシさんの動画で見たこいつを試すことにしました」。
ピコグリルは、’83年にスイスで設立されたSTC社が展開するブランド。その焚き火台は、薄い、軽い、美しいと三拍子揃い。村田さんに「無敵」とまで言わしめる実力だ。
重さは約450gと、ペットボトル飲料以下。パーツを分解すればすべて平らに折り畳めるため持ち運びも楽チン。底が窪んでくの字型になっているため薪がこぼれ落ちることも少なく、スリットが空気の通り道をしっかり確保しているので薪もよく燃えてくれる。
「あれだけ決めかねていたのが嘘のようでしたね。やっと落ち着きました」。
どれだけ頼りにしているかは、歴戦の使用感からも容易に想像がつく。
村田さん曰く、「ギアは、高価だから、便利だからといってもそれがベストとは限らない」。
安くても、使いにくくても、そこに可愛げがあり、使うほどに味を増すようなら使い続けてしまうものだという。そう、山ギアには、一般的なものさしでは測れない魅力があるのだ。「ギアは深いなぁ」としみじみ語る村田さんの言葉に、我々も大いに賛同した次第。
「こだわりキャンパーの愛用ギア」とは……
全国的に沸騰中のキャンプ熱。その魅力は開放的な大自然と、「ギア」に見出す男のロマン。今もっとも気になる、“あのこだわりキャンパー”たちの愛用ギアを特別に拝見。
上に戻る 菊地 亮=取材・文