利便を上まわるルックスに惚れぼれ
「アウトドアでは料理を作ったり、さまざまなギアを試してみたりと、楽しめる要素はいろいろあります。でも、結局僕の場合、メインディッシュは焚き火っていう……(笑)」。
村田さんは、どこかで大好きな焚き火に合わせギアを選んでいる節があるという。代表的なギアが薪ばさみだ。
「薪をくべたり取り除いたり、空気の通り道を作って火の加減を調節したり。焚き火しているとき、薪ばさみは常に握っていますね。これまでは量販店で安く買えるステンレス製のトングを使っていたんですけど、これだけ長時間使用するのであれば、簡易的なものよりはどっしりとした男らしいものが欲しいな、と思ったんです」。
ウッドと漆黒の鉄のコントラストがなんとも美しいこちらは、「自然の景観に溶け込むルックス」という村田さん独自のセレクト基準で選んだ。手元で折れ曲がりながら先端へと伸びたフォルムには、武骨ななかにも洗練が感じられる。薪を掴みやすいようハサミの先端が平らになっているのもうれしい配慮である。
「こいつを使い始めてから、余計に薪ばさみを手放せなくなりましたよね。必要だからというのもありますが、やはり思い入れの強さがいちばんです。慣れないと使いづらい部分はありますけどね」。
その愛情の深さは、色が変化してきたウッドの持ち手にもよく表れている。
3/3