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「ふるいにかける」では必要な人数を確保できない

結局、「修羅場が大事」と単純に言ってしまう上司は(私もたまに言ってしまうのですが……)、武勇伝を語りたかったり、自分の部下のことを知らないために、彼・彼女にとって適切な仕事のレベルを設定できなかったり、挫折しないやつはダメだと思い込んだりしているのではないかと思います。
もちろん、そんな修羅場を乗り越えてくる強い人材もいると思いますが、1学年200万人以上いた私たちのような団塊ジュニア世代ならともかく、この少子化、人手不足の時代に、そんな「ふるいにかける」ような人材育成をしていては、自社に必要なだけの良い人材の確保はできません。
 

上司の役割は「自己効力感」の向上サポート

むしろ、今の時代の人材育成の方向性としてお勧めなのは、先にも述べた若手人材たちの自己効力感の向上をサポートしてあげることです。
適切な難易度の仕事をアサインして成功体験を積ませたり、ロールモデル(上司自身でも、適した先輩でも構いません)をつけて疑似体験をさせてあげたり、よいタイミングで適切な賞賛を行うことで自信をつけたり、やる気が出るような職場の雰囲気作りをしたりなどなど、自己効力感を高める方法はたくさんあります。
自己効力感が高まれば、挑戦心や成長意欲が生まれ、失敗にも強くなります。そしてその結果、上司の皆さんが期待する「成長」が見込まれるのではないでしょうか。
 
連載「20代から好かれる上司・嫌われる上司」一覧へ
「20代から好かれる上司・嫌われる上司」とは……
組織と人事の専門家である曽和利光さんが、アラフォー世代の仕事の悩みについて、同世代だからこその“寄り添った指南”をしていく連載シリーズ。好評だった「職場の20代がわからない」の続編となる今回は、20代の等身大の意識を重視しつつ、職場で求められる成果を出させるために何が大切か、「好かれる上司=成果がでる上司」のマネジメントの極意をお伝えいたします。
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組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス
『組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス』(ソシム)
曽和利光=文
株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。
石井あかね=イラスト


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