さらに驚くのは、ジェシーさんは南米チリにも家を所有しているということ。聞けば20年ほど前、知人の世界的なレジェンドサーファー、デレク・ハインドさんから波のポテンシャルについて聞き、土地の購入をアドバイスされたのだという。
「当時のチリはまだサーフィン後進国。サーファーも全然いなかった。海は冷たく、波はハードだしね。でもその環境が僕には魅力的だったんだ。
カリフォルニアの海はいつも混んでいるから、他のサーファーと波を取り合うというストレスが待ち受けていることがある。そうした状況から逃れ、純粋にサーフィンを楽しむうえでチリは格好な場所なんだ」。
トパンガの家からチリの家までは丸一日をかけた旅路。まずはロサンゼルスからサンティアゴへ飛び、空港からタクシーでバスターミナルへ。そこから南へ6時間走り、ようやく沿岸の小さな町、クラニぺに着く。
現地へは年に2〜3回の頻度で訪れ、その都度2週間ほどの滞在を楽しむという。滞在中は「ほぼ何もしない」スローな生活。
波に乗り、10歳の娘との時間を大切にし、おいしい食事に舌鼓を打って、読書や、ときに友達との再会を楽しむ。テレビはなく、インターネット環境も良好ではない。その不便さが、逆にチリでの豊かな時間を約束してくれる。
ちなみに家は海に面しているが、波質はそれほど良くないらしい。それでもチリには5000kmもの海岸線がある。少しクルマを走らせれば、自然が剥き出しのコーストラインに良質な波がブレイクするスポットにアクセスでき、混雑知らずでサーフタイムが楽しめる。
「この家があるから、もう波を求めて見知らぬ場所へ旅に出かける必要がなくなった」と言うほど、ジェシーさんにとって意義深い場所になっている。
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