「チリの家があるから、もういい波を求めて世界を旅する必要はない」。そう話すのは、サーフボードの輸入会社を経営するジェシー・フェーンさんだ。
彼がチリに別荘を立てるに至った経緯、そしてそこでのライフスタイルは、我々に「職遊融合」のあり方を教えてくれる。
国境を越えてさえ求めたいい波と築く暮らし
いい波に乗りたい。しかし仕事がある。いつの時代も「遊」と「職」の狭間で頭を悩ましているのが社会人サーファーである。
しかもこの悩みは本質的でグローバルスタンダード。日本だけでなく海外のサーファーも変わらない。なぜならいい波に乗るためには、波という自然のリズムに生活を合わせられるか否かがカギとなるから。いい波は週末にやってくるとは限らないからであり、そこでこのカギを手にするうえで2つの手段を講じるサーファーは多い。
ひとつはサーフィン関係の仕事に就くこと。もうひとつはいい波の前に住むことだ。
オーストラリアのシドニーに程近いビーチタウン、ナラビーンで育ったジェシー・フェーンさんは現在45歳。今もオーストラリアに実家がある一方、多くの時間をアメリカ・ロサンゼルス近郊の街、トパンガで過ごす。
自宅から海まではわずか。マリブという世界に誇る上質なサーフスポットも近い。仕事はオーストラリアからアメリカへサーフボードを輸入する会社のマネジャー。リモートワークが主であるため仕事時間は自分なりにカスタマイズでき、波がいいときは海に繰り出せるライフスタイルを築いている。
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