コレステロールの“無罪”も国は認めていた!?
大脇先生によると、そんな迷信の一例として、コレステロールについても注視すべきだと警告する。
「コレステロールといえば、油っこい食べ物を思い浮かべると思いますが、当然、摂取量を減らしたほうが健康に良いとされてきました。ところが、食べ物から吸収されるコレステロールよりも、体内で合成されるコレステロール量のほうがはるかに多いことが認められているんです」。
コレステロールには「善玉」と「悪玉」があるとされているが、いずれも「リポタンパク質」として人体を構成している細胞の原料になっているだけでなく、男性ホルモンや女性ホルモンなどの源でもあり、生きるうえで必要な物質なのだと認められているのだそう。
これらを踏まえて厚労省は2015年、“もう食事のコレステロールに目標値は設定しない”と方針転換した。
「実は、’90年代からすでにこれらの研究結果は報告されていたんですが、なかなか知れ渡りませんでした。きっと、コレステロールを制限するほうが、それを抑えた商品の開発や販売促進を促し、市場にブームが生まれるからでしょう」。
確かに食用油をはじめ、チーズやマヨネーズなど、「低コレステロール」を“売り”にしている商品はたくさんある。だが、それらはあくまで自己満足に過ぎず、すなわち健康食品というワケではないらしい。
「お酒を飲みたい人は飲んで、好きなものを食べたい人は食べて、それでも我慢したければ我慢して。迷信に囚われず、正しい知識のもとに自由に生きればいいんです」。
痛風を警戒する場合、プリン体とビールの因果関係は薄いことがわかった。しかし、痛風にはならなくとも、やはり「ビールは太るのではないか」という不安は拭えない……と思いきや、ここにも実は“迷信”が潜んでいるようで。
気になる真偽は後編にて。
七瀬あい=取材・文