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マンネリ打破で普通は距離を伸ばすところ、齢50にして短距離に挑戦

50歳を迎えたことをきっかけに、今までとはひと味ちがったランニングに挑戦しているという。
「ハーフマラソンなどのレースにも定期的に出ていたのですが、さすがにマンネリを感じてもいて、ふと思ったんです。100mを走ったら面白いんじゃないかって」。
ある程度経験を積んだマラソンランナーが、より大きな達成感をもとめてウルトラマラソンやトライアスロンに食指を伸ばすのはよくある話ではあるけれど……。
「ですよね。でも、ちょっとアマノジャクな自分が顔を出して、距離を短くしてみたら、競技人口が少ないものをやってみたら、どうなるんだろうと。いざ調べてみたらマスターズ陸上というものがありまして」。
マスターズ陸上とはベテランズとも呼ばれ、主に35歳以上の競技者が5歳刻みで年齢カテゴリー別に記録を競う陸上競技だ。
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「試しに普通のマラソンシューズで走ってみたら、13秒台のタイムが出て。気を良くして過去の大会のリザルトをいろいろ調べてみたら、M50という50~54歳クラスのカテゴリーだと、あと1秒縮めれば大会で入賞できる可能性があるんですよ。専用のスパイクを履いて、真剣にトレーニングしてみたら1秒くらい縮められるかもしれないじゃないですか。それで最近は短距離仕様に上半身を鍛えたり、普段のランもあまり長い距離を走り込まないようにしたり、途中で坂道ダッシュを織り交ぜたりしています」。
残念ながら新型コロナウイルス感染症の影響で予定していた大会が軒並み中止となってしまい、その答え合わせはまだ出来ていない。
「100mの面白いところは10何秒で結果が出るところ。フィールドも陸上競技場で観衆がいて、号砲とともに自分たちだけに視線が集まります。スタート前の緊張感はマラソンでは味わえないものですし、闘争心が湧いてきます。新しいことに挑戦するこのダイナミズムは、ビジネスにおいても同様だと思います。言わば競い合っている世界に身を置いているので、負けたくないという気持ちは良い仕事をするうえでも大事です。秘めたる闘争心と言いますか。だからランニングでも勝負の世界に身を置くことが好きなのかもしれません」。
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そのほかに、最近は仲間と一緒に「ダートマラソンリレー」なるものにも参加したという。
「船橋競馬場や大井競馬場のダートコースを走れるのですが、蹴っても蹴っても全然進まなくって、今まで走ったなかでいちばんキツかったです。でもほかのレースと違うこのツラさが面白かったですね」。
ストレス解消の長距離走を続けながら、短距離走でも結果を出したい。この闘争心があるからこそランニングにハマり、ランニングがあるからこそ健全な闘争心を抱き続けられる。並木さんはランニング・ビジネスマンのいいお手本なのだ。
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RUNNER’S FILE 14
氏名:並木孝之
年齢:50歳(1970年生まれ)
仕事:アイネックス 商品戦略部 部長
走る頻度:週1~2日、40~60分程度
記録:ハーフマラソン 95分、10K 42分
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ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。 上に戻る
礒村真介(100miler)=取材・文 小澤達也=写真


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