渋谷パルコの「ポップ バイ ジュン(POP BY JUN)」で開催中のアートブックフェア、“蔵出し”。
全3章立てで
6月に始まった1章から多彩な掘り出し物を放出しているが、現在開催中の最終章はスタイリスト、島津由行さんがこれまで集めたお宝の数々を大放出。題して「島津さん 孤独のメモリー」。
スタイリストの道を極め、雑誌だけでなく有名ミュージシャンやタレントのスタイリングや衣装製作を行う島津さん。華やかな活動を続ける彼の「孤独のメモリー」とはいかなるものか。
島津さんは10代で故郷・熊本を飛び出し、東京もアメリカも変わらないと渡米したのが1974年。西海岸でヒッピーカルチャーを目の当たりにし、’78年にはパンク全盛期のイギリス・ロンドンへ。
冒険心は衰えず、その後パリを拠点に放浪しながら、イッセイミヤケやヨウジヤマモトなど錚々たるブランドのパリコレの裏方を務めるように。そこでスタイリストという仕事と運命の出合いを果たし、ヴィンテージ品の買い付けも始めることとなった。
暗い夜道、懐中電灯片手に蚤の市へ行って物品を掘るのは孤独な作業だったそうだ。しかし「クリエイティブなひらめきには孤独と向き合う時間が大切」だと島津さん。
孤独な作業や紆余曲折を経て現在に至る島津さんだが、その半生とともに蓄積された逸品・珍品にはそれぞれ物語があるようだ。
例えば「HARD WORK」プリントのTシャツは、今は亡き英国デザイナー、クリストファー・ネメスの東京コレクションのスタッフTシャツ。開催日時も刻まれたスペシャル仕様で、後に再販されたがこれは当時のもの。
アートブックに限らず、歴史あるヴィンテージの服が並ぶ“蔵出し”は今回ならでは。
ゴルチエのシースルーのMA-1は80年代後半のもので、裏にスプレーで描かれたキャラクターは島津さんのオリジナルだという。ゴルチエとは、彼が最初のコレクションを発表する前に出合い、そのショーではモデルとして歩いたという鮮烈なエピソードも。
そのほか、子供の頃から大好きだったというギャグ漫画家の谷岡ヤスジ氏の本をはじめ、写真集、雑誌、ポスターと思い出の品々が店頭に並べられている。
思い入れのある物品ばかりのようだが、「自分のところにあるより、その時代を知らない若い世代に渡して使ってもらったほうが有意義」と思い切って手放すことにしたのだという。
島津さんの軌跡ともいえる、貴重なヴィンテージが並ぶ“蔵出し”最終章は7月26日(日)まで。ここで紹介したものも既に売り切れが出ているのであしからず。店舗以外にもオンラインの
特設サイトでも購入できるので、最後の蔵出しで、ぜひ掘り出してほしい。
[イベント詳細]“蔵出し”期間:7月13日(月)〜26日(日)住所:東京都渋谷区宇田川町151 渋谷PARCO 1F POP BY JUN営業:11:00〜20:00www.junonline.jp/special/popbyjun-kuradashi[問い合わせ]ジュンカスタマーセンター0120-298-133