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こうした話はオンライン飲み会に限った話ではありません。在宅勤務での新常態とも言うべきオンラインコミュニケーションは、従来のリアルのコミュニケーションと勝手が違い、思うように行かないことが多々あります。
しかし、だからといって「やはり仕事はリアルなコミュニケーションでないとダメだな」と考えるのは早計です。そうではなく、在宅でも問題がないオンラインコミュニケーションの術を身に付ける。さらに一歩踏み込んで、むしろオンラインコミュニケーションのほうが優れている点を見いだし、それを積極的に取り入れていくことが、これからのリモート時代を生き抜くビジネスパーソンの知恵ではないでしょうか。

オンラインコミュニケーション術、3つのポイント

その観点から、3つのポイントをご紹介していくことにしましょう。
1.リモートでもあえて「天気」の話題から入る
リアルのコミュニケーションで当たり前のように行われている、差し障りのない話題の代表例が天気です。「今日は暑いですね」「午後は雨が降りそうです」といった天気の話題は、お互いに遠隔地の室内で行うオンラインのコミュニケーションでは出番がないような気がしますが、実はそうでもないのです。在宅勤務時にも、実は天気の話題は効果的なのです。
私はこれまで、天気の話題がされるのは、誰もができる共通の話題だからと思っていました。しかしオンラインでのやりとりを通して、あることに気づいたのです。実はそこでコミュニケーションしているのは、身体感覚だったということに。
「今日は暑いですね」という話題は、「私は暑く感じているけれども、あなたもそう感じますよね」という身体感覚の共有です。「雨が降りそうですね」という話題も、降りそうに感じている自分の皮膚感覚を表明しています。
家の中にいてなかなか外の空気に触れられない状況において、あえて外の天気を話題にする。違う場所にいるから、時には天候も微妙に違うかもしれません。「こっちで雨が降り始めたので、そちらにもまもなく雨雲が到達すると思いますよ」というような、時間と空間を共有するような話題は、仕事上のコミュニケーションにおいて、潤滑油となり、一服の清涼剤となり、また、身体感覚や場を共有するきっかけになるのです。
また、天気の話題は、その流れで「雨が降って、洗濯物が乾きませんね」という生活の雰囲気にも自然と話題を広げることができるメリットもあります。
2.チームの一体感を維持する「朝メール・夜メール」
在宅勤務とオフィス勤務のいちばん大きな違いが「時間の同期性」です。オフィスであれば、フレックスなどの制度はあったとしても、基本的には同じ時間に働いていることが可視化され、共有されています。
しかし在宅勤務の場合は、ほかの人がいつどのように仕事をしているのかがわからず、「同じ時間に一緒に働いている」という実感に乏しくなります。これを「労働の非同期化」と呼んでいます。
人それぞれ、さまざまな都合があるし、調子の善しあしもあります。そうした中、無理に仕事の仕方を同期させるのではなく、状況に合わせて働き方も変えられるのが、在宅勤務のよさです。シエスタのような長めの昼食休憩をとってもいいですし、気分のいい朝早くにひと仕事を終わらせてしまうこともできます。


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