プロ野球選手のセカンドキャリアをポジティブなものに
そんな矢貫さんに、今後どのようなことをしてみたいか聞いてみた。
「最終的には野球選手をやっていたときと同じで、こういう風な人になりたいなと思われる仕事がしたいと思っています」。
そう語る背景には、戦力外通告をされた野球選手のネガティブな印象を払拭し、セカンドキャリアを明るいものにしたいとの想いがある。
「プロを退いたあとで『野球以外の道に進みたい』と思ったのも同じ理由でした。プロ野球選手は、選ばれた人たちがなる職業。並大抵の努力だけではなれない職業に就いた人たちなので、プロ野球選手という職業から離れても、ほかの分野で必ず活躍することができる。だから、僕が野球と違う分野の掛け合わせで活躍できることが証明できたら、後に続く選手やプロ野球選手を目指している子たちは、後先考えず、さらに集中して野球に没頭することができると思うんです」。
高校、大学、社会人、プロ、そして球団職員になるまで。紆余曲折ありながらも野球と共に歩んできた矢貫さんの人生だが、どんなときも自分の現状を悲観的には思わず、ポジティブに捉えていったという。だからこそ、野球選手を終えてからの人生も決して暗いものではないと伝えたい、そして伝えられる立場にある。
これからも矢貫さんは、野球を愛する人々のために、ただただ前を向いて進んでいく。
連載「37.5歳の人生スナップ」一覧へ「37.5歳の人生スナップ」もうすぐ人生の折り返し地点、自分なりに踠いて生き抜いてきた。しかし、このままでいいのかと立ち止まりたくなることもある。この連載は、ユニークなライフスタイルを選んだ、男たちを描くルポルタージュ。鬱屈した思いを抱えているなら、彼らの生活・考えを覗いてみてほしい。生き方のヒントが見つかるはずだ。
上に戻る 於ありさ=文 小島マサヒロ=写真