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2020.07.07

ライフ

マイホームが欠陥住宅だったら…… 泣き寝入りしないための法知識

民法が120年ぶりの大改正を迎えた。遠い存在に感じる法改正だが、僕らの暮らしに与える影響は大きく、知っておかないと困ることも多いのをご存じだろうか?
そこで、具体的なシチュエーションを例に挙げ、『スッキリ』『行列のできる法律相談所』などでおなじみの菊地幸夫弁護士の解説で民法改正のポイントを紹介。
今回は「もし購入したマイホームに欠陥があったら」。まさかの事態に陥ったとき、法改正の内容を知らないと泣き寝入りしてしまうかも?
菊地幸夫【教えてくれた人】菊地幸夫 弁護士●中央大学法学部卒業。番町法律事務所。元司法研修所刑事弁護教官。社会福祉法人練馬区社会福祉事業団理事も務める。また、日本テレビ『行列のできる法律相談所』及び『スッキリ』をはじめ、数本の番組にレギュラーとして出演。
HP:http://bancho-lawoffice.com/
 
 

【Case Study】マイホームが雨漏り…… 売り主は断固修理を拒否するが、泣き寝入りしかないの?

雨漏りする家
Aさんは39歳の会社員。妻と来年小学校に上がる長男がいる。家族のことを考え、思い切って郊外にローンで一軒家を購入したが、住み始めてからしばらく経ったある日、天井から雨漏りすることが判明。ところが、売り主に修理を頼んでも「そんははずはない」と対応してくれない……。Aさんはこのまま雨漏りを我慢して欠陥住宅のローンを払い続けなければならないのか?

──欠陥住宅ってよく聞きますよね。雨漏りだけじゃなく、床が傾いているとかシロアリとか建て付けが悪いとか。僕もそろそろマンションを買おうかなと考えていたんですけど、修理もしてくれないなんてひどすぎる! 菊地先生、こういうケースって買った側が泣き寝入りするしかないんですか?
菊地:泣き寝入りする必要はありません! 従来は、Aさんのケースのように売買物件に隠れた欠陥があることを「瑕疵担保責任」と呼んでいたのですが、今回の民法改正では、まず名称を「契約不適合責任」というわかりやすいものに変更し、欠陥の責任を売り主に追及する条件も方法も大きく変わりました。
改正前は、欠陥をお金で補ってもらう「損害賠償請求」、解約して契約を白紙に戻す「契約解除」のふたつの方法しか認められず、修理してもらうことは法律的にできなかったのです。でも、改正によってトラブルの解決方法が法律で明確化されることになった。なぜかというと、契約を白紙にしたり損害賠償を請求したりするのって、すごく時間も手間もかかるし、大変じゃないですか。
──スマホなら解約も簡単ですけど、マイホームの売買契約の白紙化なんて生きるか死ぬかの戦争になりますよ! 金額も大きいので売り主側も必死だし。
菊地:ですよね。そこで、実情に合わせた現実的な方法で売り主の責任を追及できるようになったのがポイントです。具体的には、まず欠陥部分を修理してもらう、修理できないのならその分を減額してもらう。3000万円の物件だったら、雨漏りするから2500万円に減額してもらう感じですね。この「欠陥部分の修理」「その分の代金の減額」というふたつが新たに認められました
マイホームを買って欠陥があったら直してほしいと思うのが当然です。従来も修理してくれるケースはあったのですが、事実上行われていただけで、法律的に認められたものではなかった。それが法改正によって、売り主側に「契約内容と違うから修理して」「その分減額して」と言えるようになったのです。
──修理してくれる欠陥の種類に条件はあるんですか。たとえば、雨漏りの修理はOKだけど建て付けの悪さは直してくれないとか?
菊地:欠陥が買主の責任で発生したものや、修理不能でない限り、原則として条件はありません。従来の法律では「容易にわからない欠陥」、つまり隠れた欠陥が条件でした。雨漏りなんて外から見えず、住んでみないとわからないじゃないですか。そういう場合のみ売り主の責任を追及できました。
逆に言うと「簡単にわかる欠陥は買う前に見つけておけ」という法律だったのです。今回の法改正では「容易にわからない」という条件が取り払われ、契約と違ってさえすれば、すべて契約不適合と認められるようになりました。
【改正ポイント①】
・法律の名前が「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変更
・欠陥があったら「修理して」「代金を減額して」とも要求できる
・契約内容と違っているものすべてに原則として売り主の責任を追及できる


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