1年以内に通知しないと責任追及できない!
──なるほど。それなら家に欠陥があっても泣き寝入りせずに済みそう。今後は雨漏りがあっても「そんなはずはない」「知らない」って修理を断られることはないんですね。僕も安心して家族で暮らす物件探しができそうです!菊地:安心するのはまだ早いですよ。売り主の契約不適合責任を問うための条件のなかには、
改正前と改正後で変わっていないものもあるのです。
──え、なんだろう……。買った物件にささいな傷がある程度ではダメとか?菊地:
責任の保全の期限です。この期限は改正前も改正後も
「1年以内」で変わりません。これは簡単にいうと、仮に家を買ったとして、そこになんらかの欠陥があったとしても、契約してから3年も4年も経っているのに「家に欠陥があるから修理してください」と言っても認められないということです。
──じゃあ11カ月目に欠陥を見つけて、売り主と話し合っている最中に1年以上になってしまう場合はどうすればいいんですか。認められなくなる?菊地:そのケースなら大丈夫です。契約してから1年以内に「どうしてくれるんですか」と通知すれば認められます。「修理してください」と声を上げれば、その時点で権利が保全されます。解決自体はさらに時間がかかってもOKです。
そうは言っても、権利が保全される期間には注意が必要です。1年って意外と早いんですよ。もうすぐ台風の季節がやって来ますけど、「これって雨漏りかな?」と半信半疑のまま放置し、翌年になって修理を要求しても、もう1年を過ぎてしまっています。欠陥に気づいたら早めに通知しないと権利が失われてしまうのです。
──それじゃ民法が改正された意味がなくなりますね。気をつけます!【改正ポイント②】
・欠陥を知ったときから「1年以内」に通知しないと認められない
・売り主に通知さえすればトラブルの解決に何年かかっても大丈夫
沼澤典史=取材・文 石井あかね=イラスト