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【1本目】銀幕を彩った伝説のヴィンテージ

レイバンのサングラス「ウェイファーラー」
レイバンの「ウェイファーラー」からは、時代に左右されない王道の持つ良さを感じる。
サングラスと聞けば誰もが思い浮かべるブランドがある。そう、レイバンだ。
そして、同社の代表作、ウェイファーラーは、これまで機能にフォーカスを当てていた世の中が、サングラスにファッションとしてのポテンシャルを見出し始めた’50年代に誕生したモデルである。

折しも、アメリカではロックミュージックが台頭。新しさを求めた彼らは、ウェイファーラーをこぞって愛用し、当然のごとく彼らに憧れる若者たちも虜にした。
“自由と個性”の象徴となったサングラスは、やがてセレブリティたちの御用達となり、’80年代には映画の主役たちを引き立てる重要なアイテムになった。映画『ブルース・ブラザーズ』のジョン・ベルーシやダン・エイクロイド、映画『卒業白書』のトム・クルーズなどはいい例だろう。
川上さんが手にしたのは、そんな名だたる名優が着用して銀幕を彩ってきた一本だ。

「こちらは’80年代のヴィンテージ品。よく見かけるモデルだと大半はレンズが変わっていたり、何かしら時の経過のなかで手が加えられたものが多いのですが、これはすべてのパーツが当時のまま。非常に珍しいパターンだと思います」。
なにより、自身の顔にハマったところにグッときたという。
「状態の良さはもちろんですが、何より自分の顔にうまくハマってくれて。今じゃ、もっとも着用するサングラスですね」。
日本人の顔になかなかフィットしづらい欧米のヴィンテージもの。自身の顔に合う一本と出合う機会など、そうあるものでもない。それを探し当てるあたり、川上さんの目利きの鋭さが見て取れる。
 

【2本目】半世紀以上経った今でも失わない輝き

サングラス「オブセッション ヴィンテージ」/アメリカンオプティカル
老舗メーカー、アメリカンオプティカルが作る個性的な一本。
1830年代から続くメガネメーカー、アメリカンオプティカルは、今なお根強い人気を誇る。なかでも多くの大人たちが相も変わらず手に取るのがクラシカルなモデルだが、川上さんの視線はまた別のところに向けられていた。

「丸みのあるフォルムがすごく引っかかりました。ラウンド型でもなく、ボストン型でもない。まるでオーバル型を大振りにしたような感じ。これをアメリカンオプティカルが作っているのが意外で」。
なるほど、クラシックなアイテムの印象が強いアメリカンオプティカルにあって、この形はいささか新鮮。しかも、こちらは’60〜’70年代のシロモノだけに気になるのは確かだ。単なる“古いモノ”では終わらせない、未だ色褪せないその姿。先人たちのセンスに脱帽である。
 

【3本目】衰え知らずなミリタリーのレガシー

英国空軍の’40sヴィンテージサングラス
雰囲気抜群の一本は、英国空軍の’40年代ヴィンテージ。
男という生き物はミリタリー由来のアイテムに目がない。きっとそれは、男らしさや必然から生まれた無駄のない作りがもたらす美しさに魅了されているからだろう。
セブンバイセブンのコレクションで、度々希少なUSミリタリー生地を取り入れてきた川上さんもまた、ミリタリーアイテムに特別な感情を持つひとり。

サングラスの起源は定かではないが、少なくとも認知度が高まったひとつの要因は、軍に採用されたこともあるだろう。第一人者として現在もサングラスシーンを牽引するレイバンもまた、ボシュロム社時代にパイロット用のサングラスを開発。アメリカ空軍にて正式採用された過去を持つ。

サングラスもまたミリタリーとの関係が浅からぬことを考えると、川上さんがこのヴィンテージをセレクトしたのも合点が行く。
「ミリタリーは実用性を重視するがゆえに、無駄なものをそぎ落としたプロダクトなんですよね。だから、必然的にスタイリッシュになります。こいつなんてまさにその典型ですね」。

しかも、’40年代モノでこの状態の良さは、当時の技術力がいかに優れていたかの証左。イギリス空軍で使用されたサングラスは、今も川上さんが愛用している一本だが、後世に残したい貴重な一本でもある。
 
時の経過は、熟成したワインのごとく“道具”に深みをもたらす。と同時に、ややもすれば抗いようのない劣化を引き起こすのも事実だ。それを凌駕し今なお機能する一本にこそ、やはりロマンを感じずにはいられないんだな。
「夏のサングラス3本勝負」とは……
いよいよ到来、ギンギンぎらぎらの夏である。そうなると欠かせないのがサングラス。ファッションとしても、紫外線から目を守る道具としてもマストな外出時のアイテム。センスのいい大人たちはこの夏、何を掛けるのか? お気に入りの3本を見せてもらう。
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菊地 亮=取材・文


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