①先鋒 ナイキ「エア ジョーダン1 シカゴ」
本連載でも度々登場している、大定番のエア ジョーダン1。その凄さは、同作にまつわる伝説的なエピソードの多さからもよくわかる。
実は開発に参画した重要人物とアディダスのパフォーマンスロゴの発案者は同一人物とか、同作の人気に火をつけたのはスケーターたちだったとか、履き口に配されたウィングロゴは、当時のクリエイティブディレクターが機内で思いついてナプキンに描いたものが原型になっている、などなど、伝説の数々は枚挙に暇がない。
何より、初登場が’85年ながら、「スニーカーは感覚で選ぶ」という’98年生まれの若武者の心をも鷲掴みにしている点こそ偉大さの証といえるだろう。
「これは全部がお気に入り。単純にめちゃくちゃ格好いいですよね。スニーカー好きなら確実に手に入れたいモデルだと思います。白と赤の配色が絶妙ですよ。これを技に例えると? そうですね〜……もうナイキの、いやスニーカーの大定番だけに、ストレートパンチといったところでしょうか」。
二十歳そこそこの若者のハートも打ち抜いた稀代の名作。その破壊力は35年経った今も変わらない。
②中堅 ナイキ「SB ダンク ロー」
2足目は、ガールズ ドント クライとのコラボモデル。
かまいたち山内さんも「勝負靴」に挙げた一足である。
那須川選手が「シンプルで格好いい」と心酔するナイキと、「大好きなブランドのひとつ」というガールズ ドント クライの共作とあらば、もはや手に入れない理由はない。
しかし、稀少性という点においてはトップランクに位置するレア物。それををよくも! と思っていたら……「こちら、実は頂き物なんです」とのこと。
「幸運にもガールズ ドント クライのデザイナー、ヴェルディさんと知り合うことができて。とある試合で勝利を収めたときに、お祝いとしてプレゼントしていただきました!」。
なんとも羨ましい限りである。そんなエピソードもあり、本人の愛着もひとしお。「今、いちばん履いているスニーカーかもしれないです」と、絶賛ヘビロテ中だ。
「技で言うなら、ローキックですかね。SB ダンク“ロー”なだけに(笑)」と茶目っ気たっぷりに回答。確かにその価値は、日を追うごとに増すばかりだし、このスニーカーを買い逃した人々も今頃、その痛さがジワジワと効いていることだろう。
③大将 ナイキ「エア イージー 2」
エア イージーといえば、アメリカを代表するヒップホップアーティスト、カニエ・ウエストのシグネチャーモデル。2009年、世界中でファーストモデルが一斉ローンチされた途端、またたく間に完売。こちらはその3年後にリリースされたセカンドモデルで、ファーストモデルに負けず劣らずの人気を博した。
「スニーカーの師匠ともいえる存在の方がいまして、その方に譲ってもらいました」。
動物をイメージしたアッパーデザインのインパクトは絶大。クォーターパネルにはアナコンダの表皮をイメージしたテクスチャーが施され、ヒールには爬虫類の尖頭からインスピレーションを得た独特なパーツが採用されている。
なかでも神童の目を釘付けにしたのは甲部のあしらい。
「シューレースの先の銀パーツや、編み込みの上に配したストラップがお気に入りです」。
何を隠そう、クロストレーニングシューズの象徴ともいえるアッパーのストラップは、同作のアイコニックな意匠である。
「格闘技の技で例えると何でしょうね。胴廻し回転蹴りですかね〜。なんとなく、フィーリングで(笑)」。
スニーカーには、男を魅了してやまない力がある。配色、稀少性、斬新なデザイン……さまざまな要素が相まるほどに破壊力は増してゆく。無敗の神童をもノックダウンした3足は、どれもスニーカーフリークの意識を刈り取るには十分すぎるパワーを秘めたスニーカーだった。
最近では
YouTuberデビューも果たした那須川選手の進撃にも引き続き注目だ。
※かまいたち山内さんやグッドウォーキン上田さんも登場!記事は下のバナーから↓「偏愛スニーカー三番勝負」の他の記事を見る 「偏愛スニーカー三番勝負」とは……外に出られずとも眺めているだけでアガる、それがスニーカー。スニーカー愛に溺れた生粋のスニーカー好きたちが偏愛する一足を披露する、スニーカー三番勝負。
上に戻る 菊地 亮=取材・文