「インスタグラムを眺めていると、世界各地から“スケーターが手掛けているTシャツ”というものが発信されています。でもそこで大事なのは、どういうスケーターがそれを作っているのか」。
そう話すのは東京・神田にあるスケートショップ、プライム スケートボードのオーナー、金井信太郎さん。そんな彼に今注目のスケートブランドやデザインの傾向をたずねてみた。
「どんなにデザインが格好良くても、そこに説得力がなかったらスケーターは買ってくれない。だから、知らないブランドに出合ったら、その現地のスケートショップの知り合いとかに、『これってどういう人たちがやっているの?』なんて聞くようにしています」。
「デザインについては……正直、今は明確なトレンドがなくなってきたような気がします。ポップでアメリカンな“太字ロゴ”はまた少し気分ではありますが。
ブランドでいえば、パレス スケートボードの創業メンバーのダニエル・キンロックが今春始めたボーイズクワイアとか、日本ブランドのクラムジー ピクチャーズなどに注目しています。それにガールやベイカー、サンタクルーズなど昔のビッグブランドもまたアメリカでは再燃しているんですよ」。
シーンはまさに群雄割拠である。
「NYでアングラなアーティストをサポートするクリエイティブ集団であるペーパーワークみたいに、いわゆるスケートブランドじゃなくても、スケボーと密にリンクしているところも少なくないです」。
どのブランドも個性があり、それぞれのストーリーがある。スケーターはそこに共感してTシャツを着る。それが今も昔も変わらないスケーターのアティチュードなのだ。
「ただスケーターでなくても、ブランドの背景を知らなくても、グラフィックの妙や色使いなどを楽しむのもいいと思います。それが本来のTシャツの醍醐味でもありますからね」。
そこで生まれる高揚感は、きっと僕らの心をありし日の、ユースの頃へと戻してくれるだろう。
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