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BMW「E30」が“六本木のカローラ”なもうひとつのワケ

もうひとつ、カローラと似ている点がある。ボディバリエーションが豊富な点だ。「E21」では2ドアセダン(セダンのカタチだけどドアは2枚)とカブリオレのみだったが、「E30」では2ドアセダンとカブリオレのほか、新たに4ドアセダン(後に3シリーズの主力となる)、ステーションワゴン、スポーツモデルの「M3」、4WD車(同社初)。「M3」のカブリオレ(日本未導入)まであったほど多彩なバリエーションが用意された。
ステーションワゴン(ツーリングと呼ばれる)タイプが登場したのも、3シリーズで「E30」が初めてだ。
3シリーズとして初のMモデルとなるM3は、DTM(ドイツツーリングカー選手権)でライバル「190E」と熾烈なレースを展開。お互い「エボリューションモデル」を次々に開発して性能を高め合っていった。
これもベースである「E30」が熟成された、モータースポーツ向きのモデルだからこそ、エボリューション=進化ができるともいえる。
「M3 エボリューション」。フェンダーは膨らんでいるものの全長4345×全幅1680×全高1370mmと5ナンバーサイズに収まる。搭載されたエンジンは、名車「M1」(Mモデルの祖となるスポーツカー)の6気筒から2気筒省いた2.3L直列4気筒で195psを発生させる。
「M3」のカブリオレも作られた(日本未導入)。
そんな「M3」でさえ、今見るとと見た目はスマートだ。太いタイヤを無理矢理収めるために膨らんだフェンダーですら、セクシーに見える。
最近、次期4シリーズクーペ(3シリーズの2ドアセダンの後継モデル)の大きなキドニーグリルが話題だが、小粋な小鼻の「E30」、2ドアセダンの程度の良いこの中古車を今、普段の足としてサラッと乗れたら、きっと気分がアガるだろうなぁ。
「中古以上・旧車未満な車図鑑」とは……
“今”を手軽に楽しむのが中古。“昔”を慈しむのが旧車だとしたら、これらの車はちょうどその間。好景気に沸き、グローバル化もまだ先の1980〜’90年代、自動車メーカーは今よりもそれぞれの信念に邁進していた。その頃に作られた車は、今でも立派に使えて、しかも慈しみを覚える名車が数多くあるのだ。上に戻る
籠島康弘=文
※中古車平均価格は編集部調べ。


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