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本格ダイバーズウォッチを見分けるポイント

ではダイバーズの性能をカタログ表記からどのように読み取り、判断すればいいか。特徴的な機構を以下に紹介する。

●防水性能
防水性能の表示は、深度のメートル以外に、気圧で表示されていることもある。水深10mごとにかかる圧力は大気とほぼ同じ1気圧になり、たとえば20気圧防水であれば水深200m相応の防水性能を意味する。
カシオが誇るGショックのダイバーズウォッチ「フロッグマン」。フェイス12時位置に200m防水の記載がある。
JISでは防水深度によって、100m〜200mを1種(空気潜水用防水)、300m〜1000m以上を2種(飽和潜水用防水)に分けている。また、例えば防水時計はWATER RESISTANT 20BAR、潜水時計であればAIR DIVER’S(HE-GAS DIVER’S)1000mというような表示を裏蓋や文字盤などに明記することを定めている。

●回転ベゼル
ダイバーズの要件でも筆頭に挙げられるタイムプリセレクティング装置が回転ベゼルだ。潜水開始時に分針の位置にベゼルの0を合わせることで、潜水中の経過時間をひと目で読み取れる。
逆回転防止機構は、開始時間を戻してしまったり、誤動作を避けるため。シンプルな操作で信頼性も高い。これも経過時間と深度と残圧の3要素がダイビングには不可欠だからだ。
数字や目盛りは、ベゼルに直接刻印するほか、アルミや樹脂、ラバーなどのリングプレートに記され、近年では耐傷性に優れたセラミックスを使ったベゼルも増えている。

●視認性
デカ厚ケースに大きな文字盤がダイバーズのシンボルであり、これは確実な視認性を確保するため。暗所でも確実に読み取れるよう、黒文字盤が基本で、指針やインデックスは大きく、夜光塗料が施される。
セイコー プロスペックスのマリーンマスター プロフェッショナル。夜光塗料ルミブライトが塗られた時分針とインデックス、ベゼルが暗所。でも視認性を確保する。
なかにはアクセントカラーが用いられることもあるが、深度が増すに連れ、色は赤、オレンジ、黄色、緑、青の順序でくすんでいくため、こうした特性も配慮されている。

●ヘリウム排出バルブ
加圧、減圧を行う飽和潜水では、通常の空気に含まれる窒素をヘリウムに置き換えた混合ガスを用いる。
これを満たした水中の圧力室内で水深と同じ圧をかけ、人体に不活性ガスを溶け込ませる。それ以上溶けない飽和状態にし、潜水後は同じ圧力室内で今度は徐々に減圧し、溶け込んだ不活性ガスを自然に戻していく。
ロレックス「ディープシー」。9時位置のベゼルの外側に見える丸い凹みのような部分がヘリウムガス排出バルブだ。
だがこのとき、時計は内部に侵入したヘリウムを排出できず、膨張し破裂する恐れがある。これを防ぐのがヘリウム排出バルブだ。自動式とねじ込み式があるほか、ヘリウムを侵入させないパッキンの採用や、より強固なケースや風防で破損を防ぎ、バルブを装着しないモデルもある。

●可変長ブレスレット
潜水時には、時計はウエットスーツや潜水服の上に巻くことが多いため、ブレスレットは普段よりも長さが必要になる。そこで工具を使うことなく、簡単にこの長さ調整に対応するのがエクステンション機構を持った可変長ブレスレットだ。
折り畳み式と任意の長さが選べるスライド式があり、いずれもバックル内に内蔵し、30mm程度延長できる。

 
深海という過酷な環境で使われ、ときには命を守るダイバ−ズウォッチは、一般的な時計とは異なる独自の技術革新を遂げてきた。まさにプロのための道具であり、その武骨さが男を惹きつける理由でもある。
一方で防水性や視認性、堅牢性といった機能は、時計に求められる本質であり、海以外の日常においてもその実力を発揮するだろう。
例えば旅のパートナーとしても、暗い機内でも時間が確認でき、雨風も気にすることなく、スポーツアクティビティでも気兼ねなくガンガン使える。つまりそれは、信頼の象徴でもあるということだ。
「丘ダイバーのためのダイバーズウォッチ」とは……
ダイバーでなくとも、ダイバーズウォッチは好きでいい。だって、問答無用に格好いいのだから。しかし、知識までも“丘ダイバー”にならないよう、知るべきことは知っておこう。ダイバーズウォッチの深〜い世界に、潜水開始。上に戻る
柴田 充=文

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