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2020.06.27

ファッション

知る人ぞ知る「アサヒ」のスニーカーは、なぜ世界から称賛されるのか?

1892年に福岡・久留米市で創業したゴム靴メーカー、アサヒシューズ。この名門が自らの名を冠したスニーカーブランド「アサヒ」をひそかにローンチしていたのをご存じだろうか。
1892年に福岡・久留米市で創業した老舗のゴム靴メーカー、アサヒシューズ。
今なお告知らしい告知はしていないが、すでに海外からも引き合いがあるという。
 

杜氏が丹精込めて醸したようなスニーカー

商品デザイン課、横田友樹さんの話をひととおり聞いて頭に浮かんだのは、日本酒業界のことだった。
酒蔵は年に1回行われる品評会に向けて、持てる力を出しきった酒を造る。普段は使わない職人技もこうして定期的にほこりを払い、油を差してやることで蔵全体の底上げにつながり、そして次代にバトンが託される。
アサヒは、当時専務だった現社長、牛島紀幸さんが中心となって2016年秋に呱々の声をあげた。狙いはとりもなおさず、技術継承にあった。糊やゴムの配合に最先端のレシピを採り入れつつ、土台となる部分のほとんどは昭和時代の設備、職人仕事を総動員して造られているという。

「裁断、縫製、吊り込み、糊引き、そしてゴムを練り、ソールを焼く工程。そのすべてに職人の手が入っています」(横田さん)。
自社で焼き、スライスし、削り出したソールは工芸品のようなオーラを持つ。そのソールは後述するモデル「アサヒ トレーナー」に搭載されている。
こちらが「アサヒ トレーナー」。横から見ると、計算されたソール構造がよくわかる。1万5000円/アサヒ(アサヒシューズ 0120-48-1192)
にわかには信じがたいけれど、ラストや製法は1980年代からほぼほぼ姿を変えていないという。
オリジンへのオマージュをたっぷりと込めるかたわら、遊び心も忘れていない。カラーリングは社屋の壁面や床、製靴機械から着想を得ているというから面白い。
ロゴは創業から1988年──コーポレイトアイデンティティを導入し、日本ゴムからアサヒコーポレーションに社名を変更した年(現在はアサヒシューズ)──まで使用していた書体を採用した。そのロゴは手書きだった。どうりで味わい深いはずである。

「若手社員はその新鮮な顔つきに歓声をあげ、古株の社員は『懐かしいねぇ』と目尻を下げました」(横田さん)。


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