「20代から好かれる上司・嫌われる上司」とは……リクルートのマネジャーは楽だった?
私が新卒で入ったリクルートでは、多くのマネジャーの口癖は「お前はどうしたいの?」という言葉でした。若手がマネジャーや先輩に「この案件、どうしたらいいですかね……」と相談に行くと、第一声は必ずと言ってよいほどこれでした。
あまりに毎回同じ問いをされるものですから、そのうち若手もあきらめて自分で考えるようになり、「こうしたいのですが、いいでしょうか」と最初から持ちかけてくるようになり、マネジャーは「そうか、じゃあ、やってみろ」と言う。若手は自分から言いだしたものだから、頑張ってやらざるをえなくなるという流れです。
任せられることでやる気が出る若手
リクルートのマネジャーはそう言っておけばいいので楽だなあと若手の頃は冗談で言っていました(先輩方、すみません)。若手のほうも、そんなマネジメントで育つと、どんな案件に対しても「意見」を持つように自然になっていきます。
リクルートは、最前線の社員が自律的にいろいろ考えて、ある意味勝手に工夫をしてよいような仕事が多い業界の会社だったため、「『こうしたい」と思ったらやらせてもらえ」というこのマネジメントの流れはうまくいっていました。
そして、若手社員は権限移譲をしてもらえることでやる気になっていくという良循環が生まれていました。
「自分がどう思うかは捨てよ」の衝撃
私もその流れに乗ってしばらく順調に機嫌よく仕事をしていたのですが、30歳になったとき、はじめてコンサルティングの仕事に携わった際に衝撃的な言葉を聞きました。
当時の上司から、その師匠筋にあたる超大物コンサルタントの方の「コンサルタント三カ条」のようなものをいただき、そのひとつ目に「自分がどう思うかは捨てよ」と書いてあったのです。
つまり、「どう思うか」などという曖昧な感想や意見や好みではなく、現実を見据えて、絶対不動の「事実」から思考をスタートし、そこから「論理的に」考えて、「どうすべきか」を提案せよ、ということです。
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