OCEANS

SHARE

屈強な走行性能は健在

フレーム構造を基軸にした堅牢な走りを魅力に軍用車にも使われてきたディフェンダーが、とうとうモノコック構造を採用して生まれ変わった。
そもそもフレーム構造とはトラックが採用している構造で、屈強な走りを得られる代わりに、走行振動が多いなど乗り味の質が損なわれるといわれる。これをやめたわけだ。
この事実から、軟弱になった……屈強な走りは期待できない……そんな意見が飛び交いそうだが、逆にワクワクしたほうが良い。
そもそも屈強さを求めたときの回答が、フレーム構造というのは時代錯誤。今はドリルでも穴が開けられないほど硬い鉄板もあり、モノコック構造でも屈強さは十分に得られる。しかもサスペンションは4輪それぞれを独立構造にしやすく、結果エアサスペンションまで備えられる。それにより、モード選択で185mmの範囲で車高を変更でき、高速道路では安定した走りを、ラフロードでは先代モデル以上に高い車高で水深90cmの渡河性能まで備えているのだ。
同門の本格4WDとしてジープ ラングラーやメルセデスのGクラス、トヨタ ランドクルーザーがあるが、まだフレーム構造を採用しているので、普段使いまで踏まえたら最新技術を駆使してモノコック構造を採用したディフェンダーはアドバンテージを得たと読み取れる。最新の運転支援技術も備わり、今、本格オフローダーで最も注目なモデルです。
モータージャーナリスト 五味康隆
レーシングドライバー出身のモータージャーナリスト。確かな運転技術に裏付けされた評論と解説に定評がある。執筆業のほか、独断と偏見の車動画「E-CarLife」を立ち上げ活動中。
 
 

全刷新。でも紛れもなくディフェンダー

オフローダーとして長い伝統を持つディフェンダーだから、もちろん走破性も大事だけれど、そんなハードコアな人ならずとも思わず見入ってしまうのが、そのデザインでしょう。新しい。けれど、そこにはしっかりディフェンダーらしさが宿っています。
うまいな〜と唸らせるのが、各部のディテール。ヘッドライトには丸目モチーフが使われ、基本的に線は真っすぐ、面はフラット。そしてフロントウインドーは角度が起こされています。ちゃんとディフェンダーたる要素が、今の解釈でちりばめられています。
デザイナーは以前「ディフェンダーには70年以上も歴史があるだけに“フツウ”の車なら、きっと10回近くモデルチェンジを経てきたはず。新型は、そんなふうに進化してきていたならこうなったはずだというデザインをしたんです」と話していました。目論見は見事、成功したといえますよね。
もちろんデザインとは単なる見た目の話ではありません。スクエアなボディと高い目線は狭い山道だけでなく、街中の取り回しにも大きな味方になるはず。でも、オフロード性能も相当なレベルといいますから、やっぱりどこか遠くに出かけたくなってしまいそうです。
すべてが新しいけれど、紛れもなくディフェンダー。新型は、そんな見事なモデルチェンジをやってのけました。伝統があり、そしてそれを完璧に活かすことのできるのは、いいブランドであることの証しなのです。
モータージャーナリスト 島下泰久
自身もレンジローバー スポーツに乗るだけに、ランドローバーの実力、高いブランド性は深く理解している。注目の車を試乗レポートするYouTube動画「RIDE NOW」も好調。
 



3/3

次の記事を読み込んでいます。