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2020.06.30

ファッション

アメカジ・グランジ・駄目オヤジ擁護論!? 小林 学さんが考察する「映画とルームウェア」

子供の頃は毎日が夏休みだったらいいのにな、と教室の窓から外を眺め、ボーッと思いにふけっておりましたが、まさかこの年になって、全世界的に外出禁止などというSFホラーのような状況になるなんて想像だにしませんでした……。
そんな人生未体験な日々を過ごす中、「映画とルームウェア」というテーマでのコラムの話を頂きました。そのとき、巣籠もり10日目だったボクには、真っ先に頭をよぎる作品が浮かびました。
ルームウェアが印象的な映画といえばこれしかないでしょうと思う一本、それはジョニー・デップ主演の映画『シークレット・ウインドウ』(2004年公開)。もう、カッコいいのなんの。
『シークレット・ウインドウ』のジョニー・デップ
『シークレット・ウインドウ』スティーブン・キングの小説「秘密の窓、秘密の庭」を、「スパイダーマン」など多数の作品で脚本を務めるデヴィッド・コープ監督が映画化。 ©️Album/AFLO
当時41歳のジョニー・デップ、オーシャンズ世代ど真ん中ですね。ボクに刺さったのは、ジョニーのキャラ設定がちょっとダメな小説家というところ。離婚調停手前だったり、盗作騒動の過去があったりと……人生の疲れが穴のあいたガウンからいい感じで染み出してるのです。2.5枚目の中二病小説家といったところでしょうか。
では、スティーブン・キング(『シャイニング』『ショーシャンクの空に』ほか多数の著書を持つ)原作のこの映画の概要を軽くご紹介。
ヨメの浮気現場を目撃してしまった小説家の主人公モート・レイニー(ジョニー・デップ)は街中の家を放棄して、かつて買っていた湖畔の別荘で巣籠もりを決め込む。そんな執筆活動をすることとなった矢先、ミシシッピーから来た謎の男ジョン・シューターから盗作の因縁をつけられ、精神的に追い詰められるモート。
そして後半、謎の男ジョンと直接対決と思いきや、事態は意外な結末に……。とまぁこんなあらすじです。これぞ王道、米式サスペンス!
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ルームウェアもさることながら、外での装いや書斎のインテリアなどどこまでもクール/『シークレット・ウインドウ』のジョニー・デップ
ルームウェアもさることながら、外での装いや書斎のインテリアなどどこまでもクール。 ©️Album/AFLO
次に主人公モートのファッションを見ていきましょう。劇中の彼からは3つのコーディネイトが見て取れます。いちばん印象的なのがボロッボロのガウンにヴィンテージなオートミール色の深めなヘンリーネックT、そして当時話題になったジェームズ・ディーンとお揃いだというジョニー私物のヴィンテージのウェリントンメガネ。これがこの映画を印象づけるジョニーの巣籠りスタイル決定版。
ボクはこのボサボサ金髪に穴の開いたガウン、中途半端な渡り幅のパンツスタイルの彼を見たとき、その存在感がグランジの雄、カート・コバーンと重なってしまったのです。カートもわりと日常的にパジャマでステージ、ガウン常用など、基本的に「部屋着でROCK」なスタイルですよね? だから巣籠もりジョニーと被ったのかな、なんて思います。
’04年配給というのもキモで、当時、ぼんやりと1990年代を総括する!というようなブームがあり、その波に乗ってジョニーのキャラづくりの一部にカートの影を感じさせたのではないか、なんて想像してしまいます。
もしボクがUber Eatsのバイトくんだったとして、ジョニーの家に配達。ノックのあとにこのガウン姿で出てこられたら、その無造作でいてイケてる生活感に、相当にシビレるだろうなと思います。「そこに置いといて」なんて言われたら、格好良さのあまり、のけぞりながら、ハイ!って返事してしまいそう。
そして、この着用しているガウン、色がいいんです。あとで触れますが、巣籠りした別荘が何とも’50〜’60年代のヴィンテージカントリースタイルなので、この空間にジャストミートな色艶なんです。劇中で一瞬映り込むのですが、実はこのガウン、浮気したヨメが着ていたものなんです。この、ほのかに引きずってる感も嫌いじゃない。
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