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’96年の大ヒット作『トレインスポッティング』で、スキンヘッドの薬物中毒者役を演じてブレイクしたユアン・マクレガー。
’96年の大ヒット作『トレインスポッティング』で、スキンヘッドの薬物中毒者役を演じてブレイクしたユアン・マクレガー。彼が着ていた黄色のチビTシャツも、その役柄同様にインパクトがあった。
当時のユアンは24歳で今と比べると相当にガリ痩せだ。無理もない。彼の役柄は、スコットランドに住む地元のどうしようもないヘロイン中毒仲間とつるむ若者で、食べるよりはまずタバコ、という不健康極まりない日常なのだ。だがしかし、映画の中ではスリムな体だからこそカッコ良く着こなせる古着のツンツルテンなTシャツと、脚にぴったりと張り付いて色褪せたブラックデニムが似合っていた。
よく見ると、その黄色のチビTシャツの胸にはビーチに横たわる裸の美女のプリントが。これを見つけてきた衣装係のセンスの良さよ。スキンヘッドの頭のてっぺんから、履き古したハイカットのスニーカーの足の爪先まで、ロンドンテイストに満ちたルームウェアとなっている。
面白いことに、ユアンが演じるレントンは薬物依存の生活からの脱却を試み、ひとりロンドンの不動産会社に勤めて、グレーのスーツを着るようになるのだが、家に戻れば白シャツ姿になる。これが全然、彼らしくないのだ。
堅気の仕事をする世界に飛び込んで満足する半面、麻薬のない暮らしは何か心許なくしっくりいかない。案の定、彼は元の世界に引き戻ってしまう。
薬物の問題はさておき、ユアンが白のワイシャツから以前の色モノのTシャツとデニムの格好になって戻ってくると、再びそのキャラクターとファッションがしっくりいくのだ。その人らしさとは、ファッションに表れるものだと今更ながら思った次第だった。
家だからこそ世間にとらわれず色モノを!家だからこそ世間にとらわれず色モノを!
1_ウォッシュの掛かったペールパープルが味のあるスウェットショーツ。4万5000円/アレキサンダーワン 03-6418-5174
2_手織りの布を使用した柔らかな風合いのセットアップはぐっすり寝られそう。でも色みはパキッと目の覚めるオレンジ。シャツ1万5000円、パンツ1万8000円/ともにルーマー(アルファ PR 03-5413-3546)
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石川三千花●イラストレーター、エッセイスト。『石川三千花の勝手にシネマ』(文藝春秋刊)、『石川三千花の勝手にオスカー』(集英社刊)をはじめ、映画のワンシーンと登場人物のファッションを独自の視点で切り取った著書にファンも多数。


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