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2020.06.20

ファッション

部屋着がイケてる主人公に注目! 石川三千花の「勝手にシネマ」なルームウェア

一般的に家で着る服は、リラックスするためにあまり派手なものは選ばないのが普通の感覚ではないだろうか。ネオンカラーがチカチカするTシャツや、アニマルプリントと訳のわからぬプリントの柄オン柄のシャツを家で着るような男は、よっぽどのモードマニアか脳内クラブハウス野郎。
映画の中で見るルームウェアだって大概はモノトーンで、体にも心にも優しい気取りのない服がほとんどなのである。そして、派手な色モノや普通の人にはちょっと手が出ないレベルの柄モノの服を着ている映画の主人公は、例外なく変わっています!
そして、彼らは普通の人と違っているがゆえに刺激的で案外いいやつだったりする。
何といっても、世間にとらわれず、自分が好きなものを身に着けるという強さ、まあ、ときには神経が野太くマイペースともいえるのだが、自由に自己表現できる人物というのは羨ましくもあり、見ていてなんだかワクワクするものだ。
そんな色モノ&柄モノのおうち服を実にカッコ良く決めているキャラクターが出てくる作品でオススメなのが、マドンナの初監督映画『ワンダーラスト』だ。
そんな色モノ&柄モノのおうち服を実にカッコ良く決めているキャラクターが出てくる作品でオススメなのが、マドンナの初監督映画『ワンダーラスト』だ。
主人公のAK(ユージン・ハッツ)は、ミュージシャンを夢見ながらロンドンで暮らすウクライナ移民の青年。だが現実は厳しくて、SMの調教師(!)をしながら夢を諦めずに邁進する変わり種だ。なんともユニークな主役を演じるユージン・ハッツは、マドンナが惚れ込んだジプシーパンクバンド、ゴーゴル・ボルデロのボーカルを務めるミュージシャン。
マドンナは最初から彼を念頭に置いて脚本を書いたらしく、役柄は彼自身を投影したようなキャラだ。着ているものも、本人の普段着そのままじゃないのかと思うくらい、超自然。彼らの音楽と同じようにルールにとらわれずごちゃ混ぜで、派手な色や柄モノのシャツも計算を超えた自由な感覚で体に馴染ませて、独自のスタイルとなっている。
ある日の彼の家での格好は、グリーンとイエローの切り替えのあるアディダスのタンクトップ。ボトムはライン入りのジャージで、スポーツウェアということになるのだが、ユージンが着れば、途端に個性的なロックテイストのルームウェアになるカッコ良さ。いつも着けっぱなしのネックレスやスタッズ腕輪のアクセサリーも彼のスタイルを作る印象的なアイテムだ。
ほかにも全面に星柄のシャツや真っ赤なシャツを違和感なく着こなすユージン・ハッツは、ボーカルスタイルもエネルギーに満ちた生命力の塊のようなミュージシャンで、2008年のグッチの秋冬メンズコレクションでは、彼のファッションや存在そのものがインスピレーション源になったという。
おかしかったのは、とことん派手で自由奔放なユージン・ハッツの寝ているときの格好が、上半身裸に黄緑のブリーフ、そして真っ赤なハイソックスだった! 彼流の、究極のルームウェアですね。
いや〜、逆境にあっても夢をかなえるようなカリスマのミュージシャンは、やっぱりフツーじゃない。


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