近年、少しずつ広がり始めているサステイナブルという思想。その高々と積み上がる課題にファッションも真っ向から挑む。
彼らが叫ぶTシャツという名の「メッセージ」を、見て、着て、感じ取って!
言葉だけのエコじゃない。服と服の背景を考えた“信用できる”もの作り
EQUALAND イコーランド昨年夏、あるブランドが立ち上がった。その名は、イコーランド。“EQUAL(等しい)”と“LAND(場所)”を合わせた造語だ。近年、ファッション業界において「エシカルな視点」がひとつの潮流を生んでいるのはご存じのとおり。多くの生産者が「ファッションの仕組みそのものに無理がある」と感じ始めている。
製造過程の問題、環境負荷の問題、製品廃棄の問題、原料や価格の問題……。服作りに携わる人々、そしてその服を身に着けた人々が、等しく幸せを感じられる場所を作りたい。このブランド名にはそんな思いが込められている。
イコーランドのTシャツは、世界的なブランドが使い残した、50番手の高級インド綿糸を使用している。光沢があり、しなやかで丈夫なオーガニックコットン。これを2本撚り合わせて厚みを持たせ、Tシャツという普段着に相応しい双糸を作ったのだ。人知れず埋もれてしまう高品質な、ファッションの宝のような素材。それを見いだして再び光を当てたのである。
着れば着るほど、この素材の実力の高さを感じられると思う。洗濯を繰り返しても型崩れせず、ゴワつかない。気持ちの良い肌触りを長く楽しむことができるのだ。優しく深みのある墨黒の色合いは、バンブーチャコール、すなわち竹炭で染められている。
竹炭は弱アルカリ性のため、抗菌効果もあるとか。またコールドプレスジュースの搾りかすや流通に乗らなかった食材などを使用したボタニカル・ダイのカラーもラインナップし、このバンブーチャコールを含め全7色を展開する。水の大量消費や汚染を引き起こす化学染料を使わない、という選択肢から生まれた染色方法なのだ。
そしてネックの後ろには長いタグが付く。このタグには綿花生産者からデザイナーにいたるまで、製造に携わった人々の自筆の署名が印刷されている。それはまるで映画のエンドロール。一枚のTシャツはAIが作るのではない。人が、人の手が作り出したかけがえのないものであると、大量消費社会のなかにある僕たちに改めて気付かせてくれるのだ。
“TRUST FASHION”を掲げるイコーランド。ファッションを信じたい。信じられるファッションにこそ、本当の魅力がある。
今、イコーランドは全商品の売り上げの10%を、国境なき医師団の新型コロナウイルス感染症危機対応募金に寄付しているという。このTシャツは確かに無地だ。しかし、作り手の熱い思いによって豊かに彩られている。
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