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コロナ後の不動産購入は「早め早め」の動き出しが肝心?

不動産購入で考慮すべきは、オリンピックより日経平均。それが分かったところでさらに知りたいことがある。ずばり、コロナ禍での「不動産購入のタイミング」だ。
もちろん、緊急事態宣言が出されている今の状況では、不動産購入は控えるべきなのは言うまでもない。長嶋さんも「モデルルームは閉まっていますし、中古物件の取引もほとんどありません。今は、不動産市場も完全に様子見ムードです」と言う。
問題は、仮に新型コロナウイルスによる混乱が収束し、日常生活を取り戻し始めたあと。その状況まで戻ったとして、不動産購入のタイミングをどう考えれば良いのだろうか。
もしかすると、購入は“早め”が良いかもしれない。なぜなら、収束後に不動産価格は上昇していく可能性があるからだ。
「数年前から、日本を含め世界中で金融緩和が行われており、コロナの影響でさらにそれが強まりました。結果、コロナが収まると大量のお金が金融市場に残ります。そのお金が株や不動産市場に向かう可能性は高いですね。そうなれば、不動産価格は上昇するでしょう」。
ちなみに、今の状況は「バブル」が起きた1980年代後半にそっくりだという。
「金融緩和や、政府による“財政出動”が行われ、一方で低金利や原油安も起きている。この状況は’80年代後半と非常に近いです」。
となると、不動産価格も80年代バブルのように高騰する可能性は否めない。
「ただ、どんな不動産も軒並み上がるということにはならないと思います。一般的には、都心部や駅近の物件が当てはまるでしょう。ショッピングセンターや学校などの施設が集積している便利なエリアは、コロナ収束後に価格が上昇していく可能性があります」。
長嶋さんによると、最近の不動産は「価値が上がる物件」と「ゆっくり下落する物件」、「ゼロかマイナス価値になる物件」の“3極化”が起きているとのこと。コロナが収まったあとは、ひとつめの「価値が上がる物件」のみバブル状態になるかもしれないという見立てだ。
ということは、都心部や駅近の物件を狙っている人は、コロナの動向を見ながら早め早めに動いていくことが大切かも。もちろん、先ほど取り上げた日経平均の上がり下がりも、不動産市場の動向を考えるうえで参考になる。
不動産の購入は、人生の一大イベント。こんな状況ではあるが、なるべく冷静に状況を見守りながら、ここに挙げたポイントをもとに判断していこう。
<PROFILE> 長嶋 修
業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『さくら事務所』を設立。以降、さまざまな活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”の第一人者としての地位を築く。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任。主な著書に、『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ社)など。さくら事務所との共著『災害に強い住宅選び』(日本経済新聞出版)が発売中。
 
有井太郎=取材・文


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