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2020.05.13

かぞく

シンプルな土屋鞄のランドセルが、親にも子にも圧倒的に支持されるワケ

「ラン活戦線、異常あり」とは……
数あるランドセルのメーカーやブランドのなかでも高い支持を得ているのが、「工房系」と言われるレザーブランドや皮革加工技術を持つメーカーが作るランドセル。
それらは一様に、華美な装飾や未来的な機能があるわけでもないのに、ブランドによっては入手困難と言われるほどの人気を得ている。それはなぜか?
今や数多い「工房系」ランドセルブランドの中でも、パイオニア的存在であり、圧倒的な人気を誇る土屋鞄製造所。
その秘密を探るべく、50年以上の歴史を持ち、「工房系」のトップランナーである土屋鞄製造所に話を聞いた。
 

150以上のパーツ、300以上の工程

「何かが違う」。それが率直な感想だった。取材のテーブルに置かれていたランドセル。決して派手ではない。子供が喜びそうなわかりやすい装飾は見当たらず、むしろ地味なくらいだ。しかし土屋鞄のランドセルは、明らかにタダモノではなかった。
あくまでシンプルなデザインながら上質さを感じるランドセルは、老舗メゾンのレザーアイテムのような佇まい。
「創業は1965年。以来、ランドセルを始め、大人用のレザーバッグや小物も作っています」。
そう説明を始めてくれたのは、広報の高橋さん。では、広報の目から見た土屋鞄のランドセルの特徴はどこにあるのだろう。
「私たちが考えるランドセルとは、お子さまが小学校6年間という大切な時間に苦楽を共にする特別な存在。だから耐久性はもちろん、使いやすさや造形にも妥協はできません。土屋鞄の昔から変わらない考え方は、シンプルかつ丈夫であること。そのうえで職人の、人の想いを乗せていることでしょうか」。
土屋鞄のランドセルは300を超える工程を経て作られる。パーツの数は150以上。素材となる革の使う所を判断する型入れから組み立て後の検品にいたるまで、すべてが手作業だ。ゆえに、完成まで1カ月を要する。
数多くの職人が、手作業で組み上げる。
それぞれの製造過程に専門の担当者がいて、ベテランから20代の若手まで幅広い顔ぶれの職人が腕を振るう。土屋鞄のランドセルをひと目見て感じた、語られずとも響く存在感は、こだわりのディテールと“想い”が積み重なった結果なのだろう。
“菊寄せ”作業の様子。
例えば、ランドセルの角を菊の花びらのように寄せる“菊寄せ”や、強度が求められる部分に職人による手縫いが施された肩ベルト。それらは外見で声高に主張せずとも、ランドセルの強度と佇まいに大きな影響を及ぼす。手作業で行われるそれらにはクラフツマンシップが宿っていく。こだわりは縫製の糸にまで及び、1本1本を蝋に浸して使い込んでも毛羽立ちにくいようにしているのだというから驚きだ。
「ほかにも、暑くても熱がこもらないように凹凸のついた背当てクッションや、かぶせ開閉部の当て布など、あらゆるディテールを使う人の立場に立って考えています。そして、常にユーザーの声に耳を傾けて年々少しずつ改良に努めています」。
一見わからないが、3つの新たな機能を追加し、改良された2021年度入学用の新作ランドセル。
2021年度入学用のランドセルは、新しい機能を3つ採用したという。
「まずは、これまでなかった“持ち手”を付けたこと。そして、“背カン”と呼ばれるパーツを立ち上がるように設置したこと。さらには肩ベルトをカーブさせてS字型に変えました。これらはすべて、背負い心地などの快適性に関わる部分です」。
今季のラインナップは、全56種類。なかには、マチや肩ベルトにヘリンボーン柄をあしらったモデル「シェープ(SHAPE)」といった新顔も。
「シェープ」3色展開、各13万円[税込]/すべて土屋鞄製造所 0120-907-647
こちらのシリーズは金具も特別にデザインされ、革の色に合わせてソフトゴールドとソフトブラックの金具があしらわれる。ちなみに、インテリアデザインなどにも使われるヘリンボーン柄には、親から子へとつながっていく愛情、脈々と受け継がれる職人の技といった“連続性”が表現されているそうだ。


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