ディオールのメンズ アーティスティック ディレクターを務めるキム・ジョーンズの手腕に、僕らはいつも驚愕し、感服し、魅了される。
そして尽きせぬ彼の創意は、またしても新たな驚きを与えてくれるのだ。その驚きとは、ストリートカルチャーのカリスマ、ショーン・ステューシーとともに作ったご覧のアイテムである。
いや、もう小難しい言い方はよそう。このディオールのロゴを見てくれ。
ショーン・ステューシーならではの、あのフォント! 手編みのカシミヤニットに、デニムブルゾン(ボタンはいちばん上まで留めるべきだろう)の胸元に、クリア素材のサンダルのストラップに。
グラフィティのタギングのように再解釈されたロゴひとつで、最先端のモード、サーフカルチャー、ストリートの気分を見事に融合させている。
オーシャンズがファッションに求める「模範解答」は、単に小ぎれいで優等生的なものじゃない。ワクワクするような遊び心があって、かつ大人がしっかりと楽しめるデザイン、そして人に威圧感や嫌悪感を抱かせないもの。さらに言えば、説明不要のカッコ良さが漂うもの。
そんな数少ない「模範解答」のひとつが、このディオール×ショーン・ステューシーの服だと思うのだ。
清水健吾=写真 来田拓也=スタイリング 加瀬友重=文