まずは徹底的に「型」にはめよ
熟達化についての研究をみると、新しいスキルを身につけていく過程は、日本で昔から伝統芸能などで言われてきた「守破離」と同じく3ステップで進むとされています。まずは、既存の型を徹底的に「守る」。その上で徐々に自分らしくその型を修正していき(「破る」)、最終的には自分の「型」を確立して、既存の型から「離れていく」。
この3ステップで言えば、テレワークは多くのビジネスパーソンにとって、まだまだ「守」の段階であるのは明白です。突き放してはいけません。テレワークについての「型」をマネジャーが指定して、守らせなくてはなりません。
一部のプロを除いて、新人のように扱うべき
具体的には、既にテレワーク的な働き方をしていた一部のプロ以外は、全員新人のように手取り足取り、一から十まで行動レベルでの指示を行ってはどうでしょうか。
世の中では、もう新しい働き方が実現したかのように盛り上がっていますが、ものには順序があります。早晩、実現するでしょうが、その前に上述のマイクロマネジメントが必要な人も多いのではないでしょうか。
リアルのときにはあんなに自由にやらせてくれていたマネジャーが、テレワークになって急に細かいことを指示したり、聞いてきたりするようになった。これくらいに思われて、「今」はよいのではないかと思います。そして徐々に手を放してあげてください。
連載「20代から好かれる上司・嫌われる上司」一覧へ「20代から好かれる上司・嫌われる上司」組織と人事の専門家である曽和利光さんが、アラフォー世代の仕事の悩みについて、同世代だからこその“寄り添った指南”をしていく連載シリーズ。好評だった
「職場の20代がわからない」の続編となる今回は、20代の等身大の意識を重視しつつ、職場で求められる成果を出させるために何が大切か、「好かれる上司=成果がでる上司」のマネジメントの極意をお伝えいたします。
上に戻る 曽和利光=文 株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長 1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。 |
石井あかね=イラスト