あだ名は「アンダーグラウンドGOAT」。その意味は?
だが、ルー・ウィリアムズもキャリアを通して順風満帆なわけではない。一時は6カ月で3チームをたらい回しにされ、当時は引退も考えたという。しかし、現所属のクリッパーズに移籍後、監督を務めるドック・リバースと出会って信頼を獲得した彼は、かつての輝きを取り戻すことに成功した。
そして昨年3月、ベンチスタート選手として、NBAの歴代最多得点記録を樹立。メディアには「クリッパーズで引退する」と宣言し、骨を埋める覚悟をはっきりと表明している。
NBAを現地観戦した際、清水さんはルー・ウィリアムズの動きに終始注目していたそうだ。ウォーミングアップ中、淡々と1人で練習をこなしている姿は「まさに職人のようだった」という。
しかし、ルー・ウィリアムズは決して一匹狼なわけではない。仲間から愛され、尊敬されている。
その証拠に、彼には“アンダーグラウンドGOAT”というニックネームがあるほどだ。“GOAT”とは“Greatest Of All Time”の略語で、マイケル・ジョーダンやコービー・ブライアントといった一流選手たちを形容する言葉として、NBAでは一般的に用いられている。
そのアンダーグラウンド版とは、一体どういうことなのだろうか。かつて疑問に思ったメディアから質問を受けた際、彼はこう答えている。
「俺は、スーパースターに次ぐGOATなんだよ。みんなにとってお気に入りの選手。そんな感じの意味だね」。
最高のシックスマンから学ぶべきリーダー像
清水さんは
前回、
前々回で紹介してきた2人とルー・ウィリアムズを比較し、前者たちとの違いを強調する。
「レブロン・ジェームズ、デイミアン・リラード、そしてルー・ウィリアムズ。僕はこの3人を“NBAの三大兄貴”だと思っています。レブロンは、面倒見のいい気遣いタイプ。リラードは、現有戦力でのし上がる大将タイプ。ルーは、活きがいい若手にやらせるケツ拭き兄貴タイプなんです」。
2大エースを前線に立て、ベテランとして背後からバックアップに回る。部署のトップやキャプテン的立ち位置ではなくても、年長者として若手・中堅社員を最大限にサポートをするのも、ひとつのリーダーシップと言えるのではないだろうか。
与えられた仕事を着実にこなし、チームに貢献する。同時に、悩みや困難に直面する仲間に手を差し伸べ、成功をアシストする。人の上に立つのはどうも苦手という人は、ルー・ウィリアムズのような“アンダーグラウンドGOAT”を目指してみてもいいかもしれない。
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上に戻る 市川明治=取材・文